休息
文字数 551文字
「こいつは虎の子だよ。」
二人は国境近くの山奥にある小さな炭焼きの山小屋に隠れた。炭焼きの男がカナタの抱えた白い塊を見て驚いたように言った。
「最近サーカス団から白い虎の親子が逃げ出したという噂を聞いた。親は国境付近で撃たれたらしい。母親を失った子供は、どこかで野垂れ死にするだろうと街から炭を買いに来た連中が言っていた。」
男は炭を売って暮らしていた。
「さすが、獣の子だ。どこも折れちゃいない。」
赤く擦り剥けた右の前足に傷薬を塗り、包帯をしながら関心していた。
「すまないな。迷惑をかけちまった。」
ゼノは炭焼きの男に謝った。
「いいって。予言の日が近いんだ。そろそろここも引き上げようと思っていたところだ。」
男は落ち込むカナタにやさしく言葉をかけた。
「そいつは見てみたかったなあ。あいつら好き勝手やってやがるんだ。ざまあみろってんだ。小僧、度胸あるなあ。」
カナタはその日、久しぶりに風呂に入り、木の硬い床だったが毛布に包まりゆっくり眠った。
「イゴーよ。サタドゥールの様子はどうだ。」
ゼノはカナタに聞こえないように炭焼きの男に尋ねた。
「それが、動きがまったく掴めません。あのエセ予言師は『器』探しに衛視たちを国中に派遣しているようですが、まだ誰も戻ってないようです。」
二人は国境近くの山奥にある小さな炭焼きの山小屋に隠れた。炭焼きの男がカナタの抱えた白い塊を見て驚いたように言った。
「最近サーカス団から白い虎の親子が逃げ出したという噂を聞いた。親は国境付近で撃たれたらしい。母親を失った子供は、どこかで野垂れ死にするだろうと街から炭を買いに来た連中が言っていた。」
男は炭を売って暮らしていた。
「さすが、獣の子だ。どこも折れちゃいない。」
赤く擦り剥けた右の前足に傷薬を塗り、包帯をしながら関心していた。
「すまないな。迷惑をかけちまった。」
ゼノは炭焼きの男に謝った。
「いいって。予言の日が近いんだ。そろそろここも引き上げようと思っていたところだ。」
男は落ち込むカナタにやさしく言葉をかけた。
「そいつは見てみたかったなあ。あいつら好き勝手やってやがるんだ。ざまあみろってんだ。小僧、度胸あるなあ。」
カナタはその日、久しぶりに風呂に入り、木の硬い床だったが毛布に包まりゆっくり眠った。
「イゴーよ。サタドゥールの様子はどうだ。」
ゼノはカナタに聞こえないように炭焼きの男に尋ねた。
「それが、動きがまったく掴めません。あのエセ予言師は『器』探しに衛視たちを国中に派遣しているようですが、まだ誰も戻ってないようです。」