第60話 犯人の目星
文字数 710文字
これで、それぞれの攻撃の犯人の目星もつきましたね。
あたしと和倉の両方を殺したいのは、CIAと国防総省だ。だから、和倉とあたしが両方狙われた3回の攻撃は、全部CIAの仕業だ。
ニセ警官を使って和倉を誘拐しようとしたのはチャイナ・マフィアだけど、裏では中国政府が手を引いていたに違いない。
中国政府は、アメリカ政府と違って和倉さんのクスリに対抗できるネタがなくて和倉さんをさらってノウハウを手に入れようとしたんでしょうね。
和倉さんをクルーザーに監禁したのはエウケ・レ・レが雇った民間軍事会社と考えていいでしょう。あの港には日本人に見える傭兵しかいませんでした。アジア系の兵士を集めるのに手間取って、和倉さんをすぐに保護できなかったと考えられます。
ビジネスホテル、IRのスイートルーム、人質交換。この３つのタイミングでの攻撃がCIAの仕業だと考えると、攻撃のパターンだけでなく、攻撃に使った技術についても説明がつく。
ビジネスホテルであたしに撃退された連中が、あたしの放電が速すぎて人間では対応できないと報告したんだな。それで、次は無人飛行船、その次はロボット・ガンナーを使ってきた。
なるほどな。これで一連の攻撃を完全に筋道だって説明できるようになった。
佐伯たちは、和倉を創生ファーマに戻して新しい抗マラリア薬を作らせる計画だったんだよな。
「佐伯警視正」と呼べ。
はい、はい。警視正殿。創生ファーマが信用を失ったから、和倉を創生ファーマに戻してクスリを作らせる計画はおじゃんになった。だから、CIAには、もう和倉を殺す必要はない。
そうだ。つまり、今となっては、貴様と貴様の保護者だけがCIAに追われる身となった。
そういうことみたいね。
