プロローグ

文字数 311文字

 昭和二十年。長崎県佐世保市。
 日本の軍政を司る佐世保鎮守府(ちんじゅふ)を擁し、日本海軍の軍港として、連合艦隊艦艇の母港の一つとなっていた。
 その軍艦を整備する巨大なドック。
 午後の作業中の構内に、ブザーが鳴り響く。
 工員や整備兵たちは、耳を澄ました。
「戦艦の応急修理を準備。くり返す……

 彼らは、すぐに悟った。
 戦艦「大和(やまと)」が、損傷して戻ってくる。
 大和は、昨日、九隻の巡洋艦と駆逐艦を率い、山口県徳山湾沖を出撃した。
 しかし、この日、巨艦はついに還らなかった。
 沖縄への途上、アメリカ軍の空母機数百機と二時間にわたる激闘の末、東シナ海に沈んだ。
 昭和二十年四月七日のことだった。
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登場人物紹介

桜花(おうか)|ロケット推進の特殊攻撃機。大戦末期、日本海軍が使用した、実在の機体。

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