(四)(了)

文字数 413文字

 結局『ポトフ&テリーヌ』でも予約が入っていなかった。
 合コンの話はどこへ行ってしまったのか。

と電話で約束をしたのに、あれは私が夢を見ていたのか。何か間違えてしまったのか。それとも記憶違い? それとも妄想?
 そうしてとぼとぼと関内駅に戻り、柱に寄りかかりながら何度も何度も

に電話した。三〇分後、十八回目でようやく電話がつながった。
 

は、残業でまだ会社を出ていないと言った。
「あんなに今日の合コンを楽しみにしていたのに?」
 私はそう言った。
 すると

が返事をした。
「何言ってるの、合コンは明日でしょう?」
「えっ?」
 私はそれしか言えなかった。
「今日は木曜日で、合コンは明日の金曜日よ。あんたは一体、合コンの前夜に何をやっているのよ」
 スマートフォンが手から落ちて床に転がった。
「もしもし? (ゆう)、聞こえてるの? ちょっと有?」
 水滴が髪から伝い下りて、駅の床に

の声を聞かせているスマートフォンの上に落ちた。

(了)
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