25

文字数 318文字



あの人と会えない日が少しずつ
私の心から一つずつ何かを砂に変えていく
気がついた時にはそこに形すらなく
乾いた風に乗りどこかへと流されていく
喉が乾くように涙も枯れ果てた
雨の街をただひたすら歩いても
この渇きは癒さない
この手で掬える愛では満たしきれない
大きな波に飲み込まれ
行くアテのない野良猫のように
彷徨いながら誰かを求めて
行き着く先は知らない街の
名も無き白い小部屋
テーブルの上には一枚のレコード
赤いソファーには先客がいる
招かれざるまま隣に座り目を瞑る
窓の外で歌いながら手招きする貴方が
優しく包み込まれる
ずっとこうしていたい衝動に
鳴り響く不快なアラーム
迎えた朝に聞こえたトリの声が
私を立ち上がらせる
また歩きなさいと急かされるまま
今日も1日が始まる

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み