第5話 電光石火で敵を討て! ライトニングマジシャン!
文字数 2,371文字
アスカが命じた。
「やりなさい! ナイトチーターでシールドマジシャンを攻撃。!」
一声吠え、ナイトチーターがシールドマジシャン目掛けて突進する。
シールドマジシャンがビームを発して応戦するが、ナイトチーターはそれをかわして飛びかかる。
無残にも破壊されユウミの生命力が100削られた。
しかしこれはダメージとしては軽微。
問題はエンペラーレオだ。
カードを握る手に汗を感じる。
大げさな動作でアスカがユウミを指さした。
「とどめよっ! エンペラーレオで敵本体を攻撃!」
黒い獅子が向かってくる。
迫る猛獣の姿はあっという間に目前となり、ユウミは強烈な衝撃とともに押し倒された。
ユウミはカードを行使する。
「魔法カード『ハーフダメージ』を発動! あたしが受けるダメージは半分になる!」
「それでも2000のダメージよっ!」
ユウミの残り生命力が1700まで減じる。
たとえバーチャルであろうとも脳が勝手に判断するせいか全身に強烈な痛みが走る。ユウミは苦痛に顔を歪めながらよろよろと立ち上がった。
エンペラーレオはアスカの元へと戻っている。
これで終わりかと思ったとき……。
「ナイトチーターのスキル発動! 戦闘の終えたこのモンスター以外のブラックサバンナモンスターが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えたとき、このモンスターはもう一度攻撃できる!」
「なっ!」
ユウミの驚きとナイトチーターが襲撃を始めるタイミングが重なった。
殺られる。
無意識のうちに声が出た。
「リンボにあるヒーリングマジシャンのスキル発動! このカードをゲームから除外してあたしは生命力を1000回復する!」
金色の光がユウミを包む。
生命力が2700まで上昇した。
しかし、ナイトチーターの体当たりによるダメージがすぐに生命力を減らす。
勢いよく後方に突き飛ばされたユウミは仰向けに倒れた。数秒、息ができなくなる。彼女は痛みを堪えながらゆっくりと半身を起こした。
残り生命力は600。
「しぶといわね」
アスカが吐き捨てる。
「まあいいわ、次で仕留めるから……私はこれでターンエンド」
よろよろとユウミは立ち上がる。想像していたよりずっとハードな身体的ダメージだった。きっとこれが現実なら病院送りでは済まされないだろう。
最悪、死んでいてもおかしくない。
「あたしの……」
「悪いけど」
アスカが遮った。
「あなたのドローの前にエンペラーレオのスキルを発動させてもらうわ」
「ス、スキル?」
「相手のターン開始時に発動。そのプレイヤーの手札からランダムに一枚を破壊し、さらにリンボにあるブラックサバンナモンスター一体につき100のダメージを与える!」
「くっ」
左手の三枚のうち真ん中のカードが砕けた。
小さな痛み。
生命力は200しかない。
リンボ行きとなったモンスターカードを惜しみつつ、ユウミは再度右手を上げる。
「あたしの、ターン!」
手に入れたカードをさっと確認する。
来た。
ユウミは頭の中でテレビで見た人物を思い浮かべる。頭上からスポットライトを浴びている自分をイメージした。
声を張る。
「イッツ、ショータイム!」
ぷっとアスカが吹いた。
「いきなり何? さっきの攻撃で頭でも打ったの?」
嘲笑されても構わず続けた。
「あたしは魔法カード『ミックス』を発動! 手札のモンスター二体を素材にミックス召喚!」
素早く左手のカード全てを右手に持ち替えて放った。
素材としたのはともにカテゴリー3の光属性モンスター。
攻撃力2000の「ソードマジシャン」と攻撃力1500の「ホーリーマジシャン」の二体。
ぐにゃり。
二枚のカードごと空間が歪んでいく。回転するように空間は変異していき、その中から新たな存在を作り出した。
自然と口上を唱える。
「雷鳴を轟かせ、電光石火で敵を討て! 雷光とともに現れろ、ライトニングマジシャン!」
まばゆい光と轟音を携えて赤地に黄色の稲妻の模様のついたローブを着た魔法使いの女性が出現した。とんがり帽子は被っておらず、腰まである長い金髪を三つ編みにしている。
手にしているのは先端の尖った赤と黄色に彩られた杖。
杖の先がバチバチと音を立てている。
カテゴリー4で光属性。
攻撃力は2500。
迷わずスキルを発動させた。
「ライトニングマジシャンのスキル! このモンスターの召喚素材をゲームから除外して、その攻撃力の合計分このモンスターの攻撃力をアップさせる!」
ライトニングマジシャンの体が青白く光った。
攻撃力を示す数値が赤くなる。
6000。
アスカの顔が青ざめた。
ユウミは右手の指をパチンと鳴らす。
「いくよっ! ライトニングマジシャンでエンペラーレオを攻撃!」
ライトニングマジシャンが杖を構える。
激しくスパークする先端。光球が宿った。
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ……。
火花を上げる光球。
その輝きはどんどん大きくなる。初めは直径五センチくらいだったのに一メートルほどになっていた。
「ライトニングマジック!」
光球が発射された。
エンペラーレオが向かってくる。光球が命中した瞬間、すさまじく明滅し、最後には咆哮を上げて四散した。
エンペラーレオを破壊しても光球は消えることなくアスカへと飛んでいく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
断末魔の叫び声を上げて、アスカが感電する。バチバチいう音はアスカの声を飲み込み、やがて彼女はどさりと倒れた。
生命力は0。
ジ・エンド。
ブーッとブザーが戦いの終わりを告げた。
「やりなさい! ナイトチーターでシールドマジシャンを攻撃。!」
一声吠え、ナイトチーターがシールドマジシャン目掛けて突進する。
シールドマジシャンがビームを発して応戦するが、ナイトチーターはそれをかわして飛びかかる。
無残にも破壊されユウミの生命力が100削られた。
しかしこれはダメージとしては軽微。
問題はエンペラーレオだ。
カードを握る手に汗を感じる。
大げさな動作でアスカがユウミを指さした。
「とどめよっ! エンペラーレオで敵本体を攻撃!」
黒い獅子が向かってくる。
迫る猛獣の姿はあっという間に目前となり、ユウミは強烈な衝撃とともに押し倒された。
ユウミはカードを行使する。
「魔法カード『ハーフダメージ』を発動! あたしが受けるダメージは半分になる!」
「それでも2000のダメージよっ!」
ユウミの残り生命力が1700まで減じる。
たとえバーチャルであろうとも脳が勝手に判断するせいか全身に強烈な痛みが走る。ユウミは苦痛に顔を歪めながらよろよろと立ち上がった。
エンペラーレオはアスカの元へと戻っている。
これで終わりかと思ったとき……。
「ナイトチーターのスキル発動! 戦闘の終えたこのモンスター以外のブラックサバンナモンスターが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えたとき、このモンスターはもう一度攻撃できる!」
「なっ!」
ユウミの驚きとナイトチーターが襲撃を始めるタイミングが重なった。
殺られる。
無意識のうちに声が出た。
「リンボにあるヒーリングマジシャンのスキル発動! このカードをゲームから除外してあたしは生命力を1000回復する!」
金色の光がユウミを包む。
生命力が2700まで上昇した。
しかし、ナイトチーターの体当たりによるダメージがすぐに生命力を減らす。
勢いよく後方に突き飛ばされたユウミは仰向けに倒れた。数秒、息ができなくなる。彼女は痛みを堪えながらゆっくりと半身を起こした。
残り生命力は600。
「しぶといわね」
アスカが吐き捨てる。
「まあいいわ、次で仕留めるから……私はこれでターンエンド」
よろよろとユウミは立ち上がる。想像していたよりずっとハードな身体的ダメージだった。きっとこれが現実なら病院送りでは済まされないだろう。
最悪、死んでいてもおかしくない。
「あたしの……」
「悪いけど」
アスカが遮った。
「あなたのドローの前にエンペラーレオのスキルを発動させてもらうわ」
「ス、スキル?」
「相手のターン開始時に発動。そのプレイヤーの手札からランダムに一枚を破壊し、さらにリンボにあるブラックサバンナモンスター一体につき100のダメージを与える!」
「くっ」
左手の三枚のうち真ん中のカードが砕けた。
小さな痛み。
生命力は200しかない。
リンボ行きとなったモンスターカードを惜しみつつ、ユウミは再度右手を上げる。
「あたしの、ターン!」
手に入れたカードをさっと確認する。
来た。
ユウミは頭の中でテレビで見た人物を思い浮かべる。頭上からスポットライトを浴びている自分をイメージした。
声を張る。
「イッツ、ショータイム!」
ぷっとアスカが吹いた。
「いきなり何? さっきの攻撃で頭でも打ったの?」
嘲笑されても構わず続けた。
「あたしは魔法カード『ミックス』を発動! 手札のモンスター二体を素材にミックス召喚!」
素早く左手のカード全てを右手に持ち替えて放った。
素材としたのはともにカテゴリー3の光属性モンスター。
攻撃力2000の「ソードマジシャン」と攻撃力1500の「ホーリーマジシャン」の二体。
ぐにゃり。
二枚のカードごと空間が歪んでいく。回転するように空間は変異していき、その中から新たな存在を作り出した。
自然と口上を唱える。
「雷鳴を轟かせ、電光石火で敵を討て! 雷光とともに現れろ、ライトニングマジシャン!」
まばゆい光と轟音を携えて赤地に黄色の稲妻の模様のついたローブを着た魔法使いの女性が出現した。とんがり帽子は被っておらず、腰まである長い金髪を三つ編みにしている。
手にしているのは先端の尖った赤と黄色に彩られた杖。
杖の先がバチバチと音を立てている。
カテゴリー4で光属性。
攻撃力は2500。
迷わずスキルを発動させた。
「ライトニングマジシャンのスキル! このモンスターの召喚素材をゲームから除外して、その攻撃力の合計分このモンスターの攻撃力をアップさせる!」
ライトニングマジシャンの体が青白く光った。
攻撃力を示す数値が赤くなる。
6000。
アスカの顔が青ざめた。
ユウミは右手の指をパチンと鳴らす。
「いくよっ! ライトニングマジシャンでエンペラーレオを攻撃!」
ライトニングマジシャンが杖を構える。
激しくスパークする先端。光球が宿った。
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ……。
火花を上げる光球。
その輝きはどんどん大きくなる。初めは直径五センチくらいだったのに一メートルほどになっていた。
「ライトニングマジック!」
光球が発射された。
エンペラーレオが向かってくる。光球が命中した瞬間、すさまじく明滅し、最後には咆哮を上げて四散した。
エンペラーレオを破壊しても光球は消えることなくアスカへと飛んでいく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
断末魔の叫び声を上げて、アスカが感電する。バチバチいう音はアスカの声を飲み込み、やがて彼女はどさりと倒れた。
生命力は0。
ジ・エンド。
ブーッとブザーが戦いの終わりを告げた。