29

エピソード文字数 760文字

「……美濃!美濃!しっかりしろ!美濃!」

 あたしは美濃に縋りつき、半狂乱となる。

「お前が黒紅連合の総長かよ。お前の姉ちゃんはいい女だなあ。風俗に売り飛ばせばいい金になりそうだ」

 男達は「ヒッヒッ」と、卑劣な声を上げた。

「美濃に何をした!」

「このざまを見りゃわかんだろ。次はお前の番だ。一緒に楽しもうぜ」

 男はニヤニヤしながらあたしに近付く。怒りがこみ上げ男に殴りかかる。男は一瞬ぐらついたが、容赦なくあたしの顔面を殴りつけた。

 捕らわれていた喜与や那知、瑠乃も反撃に出る。何の武器も持たないあたし達は、素手で闘うものの、勝負は初めからついていた。

 3人の体に木刀や鉄パイプが食い込み、うめき声を上げ次々と床に投げ飛ばされた。

 喜与は頭から血を流し、「ヒーッ……ヒーッ……」と、浅い呼吸を繰り返し呻いている。

 那知も瑠乃もサンドバッグのように、奴らに殴られている。

「あざみ、そのへんでやめとけや。殺したら売りもんになんねーだろ。こいつら纏めてもらってくぜ」

「いいよ、好きにしな。あたしの姉は信也に殺されたんだ。姉を殺したくせに、自分は新しい女を作り、平然と暮らしている。信也だけが幸せになるなんて、このあたしが許さねぇ。この女は、あたしがめちゃめちゃにしてやる」

 男に捕らわれたあたしの腹部を、あざみは金属バットで殴った。

「……うぐっ」

 前方に体がガクンと傾き、床に跪く。

「だとよ、諦めな」

 男に背後から蹴られ、あたしの体は床に崩れ落ちた。

 このまま……
 あたしは殺されてしまう……。

 美濃だけは……
 助けなければ……。

 美濃だけは…………。

 薄らぐ意識を奮い立たせ、床に擦り付けていた頭を持ち上げる。額からポタポタと血が滴り落ちた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み