夏を紡いで冬になる。

文字数 1,870文字

いい加減、しつこいよな…と思っていた。

見えてきたものはあるけれど、ケンちゃんじゃなくても良いんじゃないか。
別の物語として新しく作ればいいんじゃないか。

そう思っていても、カオリも出て来てしまった。

ケンちゃんと同じように、私の通っていた大学にカオリも現れた。

まさか、どうして。
高校までならまだしも、大学まで一緒となると現実味がないのではないか。

ケンちゃんは賢いのだ。
いつまでもカオリにふりまわされ、カオリと同じ進路をたどることなんてないはずだ。

なのに、なぜカオリがいるんだ。
わからない。

とにかく、カオリがケンちゃんの乗ったバスを追ってくるという未来だけは見えている。
冬に。

冬!?

夏シリーズじゃなかったのか、これは。

私はさんざん混乱した。

でも、どうしたって雪の中追いかけてるんだから、冬だ。

その辺がどうなっているのかを考えているときが、納得のいく答えが見つからず1番ごちゃごちゃしていた。

逆に言えば、そこさえハッキリすれば、あとは、カオリが追っかけてくることはわかっているのだ。

そこで私の大学時代の経験が役立った。

私は、大学進学の時、何も考えていなかった。そこで将来が決まるとも思っていなかった。
なので、友達に「みんなでいっしょにいこう」と言われて、みんなで行けたらいーなという理由ひとつで教育系の大学を受けてしまった。
両親は私を教師にしたかったので反対はしなかった。
あの学校を出たら、ほとんどの人が教師になる運命だ。
しかし、私は何にも考えてなかったし、教師になりたいとも全く思っていなかった。

そんなわけで、あの4年間は私にとって苦痛で、社会的信用を得たという以外には不要な4年だったとずっと思っていた。

まさかここで役に立つとは、本当に人生に無駄なことなんて何もないのではないかと思う。

大学時代の親友(男)が私について「親友じゃない、女とは親友になれない」と言い放った記憶も、ケンちゃんの話に影響を与えた。その時もそんなことを言われて腹が立ったが、その経験も無駄ではなかった。

学校はそのまんま私の大学でイメージしていき、駅へ行くバスも、電車も私の通学経路だ。

そのおかげで司書教諭のことを思い出し、無理矢理感はあるものの、カオリも無理矢理感を承知してるのだからいいか、と思って話を進めた。

私はプロではないのだから、書きたいところが書ければ満足なのだ。
大事なのはそこではない。

ケンちゃんを、ちゃんと幸せにする。

それこそが、まだしつこく、この物語を書く目的なのだ。
元の話よりエピローグが長くなってしまったが、かまうもんか、これでケンちゃんが幸せになるのなら!!

トウドウくんがあまりにサラッとしているのでもうちょっと掘り下げようかとも思ったが、彼も明るい部族の一人なので手は出すまいと決めた。

明るい者は私の思考を停止させる。

大事なのは、トウドウくんではない。
ケンちゃんなのだ。

ケンちゃん、さんざんガマンさせてごめん!もうちょっとだから頑張ってくれ!
そう思いながら書いた。

ケンちゃんがついに気持ちを打ち明けた時は、
ケンタロウ、よくぞここまで耐えてきた!
と、私も危うくまた半泣きしそうになり、一緒になって脱力した。

もう同じ気持ちなんだから、
あとは二人がくっつくだけだ。
と、ちょっと気持ちが軽くなりながら書いていたのだが、ケンちゃんの最後のセリフでつまずいてしまった。

最初は
「もう、ずっと、ここにいろよ」
にした。

しかし、何回か読み返しているうちに、いくら自分のものになったからといって、ケンちゃんが「いろよ」と言うだろうか?
そんなオレ様なのか?
自分のものになったとたんに?
何か違う。
と、思って考えていた。

次に、「ここにいなよ」

最後に「ここにいてよ」が出た。

ここにいてよっていうのがケンちゃんぽいかなとも思ったけれど、なんか弱すぎる気がする。

もう最終的に好みの問題になってきた。

まず、「いろよ」はナシ。
ケンちゃんぽくないし、人によっては好きなのかもしれないけど、カオリ、言われて引くかもなーと思った。

「いてよ」かー…。
ちょっと子犬すぎやしないか。
カオリにとってケンちゃんは子犬系男子ではない、むしろ頼れる、包容力のある大人男子なはずだ。

頭の中で「いなよ」「いてよ」のせめぎ合い。

「いなよ」だな。
いなよ、って、ちょっとお互いに委ね合ってる気がした。
いてよって言われたら、いてあげるか…ってなっちゃうなー。

そんなわけで、「いなよ」に決定した。

ただ、私なら、いろよ、いなよ、いてよ、どれでもいいから言われてみたい。
…と思ったけど、やっぱり、いろよ、は嫌かもしれないな。
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