第38話 2月17日 殿様気分

文字数 1,522文字

「早くけぇーって一杯飲みてぇええええええええええええ!!!」

帰宅中はいつも、
そんな、声にならない声でもって、
私の胸はいつも満ちてゆく。

誰が待っているというわけでも、
何かがあるというわけでもない、
そこへと私は向かうのだ。

おなじみの安肴を途中で購う。

そして帰宅。

「ただいま~」





なに、怖がることは無いよ
いつもの儀式だから…

私はふと現在の全財産を確認してみた。

「全財産7千2百円とチョット、
 〇払いは…もう2千円きったか。」

とはいえ、これだけあれば25日まで余裕で過ごせるだろう。
貧乏人が大金を手にすれば殿様気分、とは言ったものだが、
そもそもが吝嗇に出来ている私は問題はないだろう。
(買い物ではスーパーをはしごするくらいだからな!)

おい、中年野良猫。

…うわっ!…きたよ。…呼んでねぇよ。
とりあえず金あるんだし良いだろうよぉ!!!

ダメェええええええええええええええええええええええええ!!!!!
お前の全財産より、1回のガールズバーで使った額の方がが多いって、
どういうことだよタコ助ぇえええええええええええええ!!!!
その何もなかったようなスカシた感じに
腹立ってくんだよ中年野良猫!!!!

まあまあ、行きたくてももう行けないわけだしさ。
連休も淋しく過ごすわけだしさ、ね?

ね?
じゃねぇええええええええええええええ!!!!!
お前は俺であって、その後先考えずに好き放題行動するそれで、
どんだけ迷惑してると思ってんだよぉおおおおおおおおおおおお!!!!

…そういうなよぉ。
結局、お前は俺なんだしさ。

だからだ、だからなんだよぉおおおおおおおおおおおおお!!!!
何でお前は俺のくせにそうなんだよぉおおおおおおおお!!!!
ダセぇしモテねぇし酒癖悪ぃし女癖も悪ぃし
金ねぇし莫迦だし野良猫だし…

お前言いすぎだぁああああああああああああ!!!

…はぁ。
その酒癖なぁ。酒飲む=女性、
ってほんと野良猫方程式やめろって…。

違ぇ!!
酒飲む=楽しい=もっと楽しくなりたい=女性=淋しい=からの女性。
これや!!!

…はいはい、今日も独り寂しく安い肴で安酒呷って、
疲れを癒してね。

言われなくとも!!!!

はぁ~。
…なあ、クソ莫迦中年野良猫。

クソ莫迦は余計だ!

世の38歳って、お前みてぇなわけねぇよなぁ?

まーね!

誉めてねぇよ!

でもなぁ、まあ、解らねぇよ。
金あっても、家族いても、何かしっくりきてねぇ奴もいるんじゃね?



かく言う俺も、淋しいっちゃ淋しいが、
今のままでもいいような気もするし、
幸せかどうかって聞かれたら、そりゃあ幸せだが、
何か足りないような気もするし…。
まあ、要するに解らねぇってことだな。

…あのさぁ。

ん?

これだけは言いたいんだけどさ…

なんだ?

金もねぇのに、生活費削ってまでお姉ちゃんの店行く38歳は、
手前ぇだけだからなぁあああああああああああああああああああ!!!



金がねぇからってゲームソフト売って金つくって、
しかもその金でお姉ちゃんの店に行く38歳は、



手前ぇだけだからなぁあああああああ!!!!
このクソ莫迦中年野良猫がぁあああああああああああああ!!!!

…ふぅ~、理性君、今日もキレッキレだね!
さぁてと、風呂風呂ぉ~。

ブチ切れだタコ助ぇええええええええええええええ!!!!
逃げんじゃねぇぇえええええええええええええ!!!


私はゆっくり風呂に浸かりながら、
もう今月は何も無いものだと、
そう思い込みたい気持ちでいっぱいになった。
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