仕事のできる男

文字数 597文字

 ある夜、クンツァイトがハワイから帰って来た。首にレイを掛け、華やかなシャツを着て、半ズボンで帰って来た。
 「いやぁ、実に愉快。愉快だったのである」
 要するに仕事ではなくプライベートの旅行だったのだ。
 「皆、私の戻りを待っていてくれてありがとう。お土産を配るので並んでくれ」
 「あーん、待っておりましたよー、クンツァイト様ぁ」
 わらわらとメイドが複数人寄って来る。彼女らが来ている、おそろいの可愛らしい小花柄のメイド服は、クンツァイトがチョイスしたものだ。
 「大変です。クンツァイト様の作った方に背き、始末すべき対象がどんどん溜まっておりまして、もう」
 「牢に入れて食事を与えなければ良いと助言しておいたろう?」
 「勿論そうさせていただきましたよー。ですが、クンツァイト様不在の間、五日間放置して、残りがまだ百人!」
 「うむ。我が法に背くような悪党は体力も並外れているのである……では、どんどんギロチンに掛けよ」
 「クンツァイト様、ギロチン台は今修理中で、一台しか稼働しておりません。どのように致しますか、順番に並ばせても全員捌くには半日は必要です」
 「当然、その間、クンツァイト様には立ち合いをお願いしなければなりません」
 クンツァイトは苦い顔になった。そんな長時間、椅子に座っているのも一苦労なのだ。腰痛が起きては困る。
 其処でクンツァイト、ぱん、と手を打った。
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登場人物紹介

クンツァイト。

父の代から有名な悪党一家に生まれ、その父を始末し、自分がトップに立つ。

自身を「キュートな王子」と呼ぶ。

ただ、見た目はどう見ても「長靴を履いたねこ」である。特にサビ猫にそっくりなようだ。

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