第6話 薬は仁術か算術か?
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その会社単独では時間がかかり過ぎることがわかったのです。「闘う会」は、一刻も早く、あの抗マラリア薬をアフリカの貧しい人たちに提供したい。そこで、和倉さんに技術指導をお願いすることにしたのです。もちろん、報酬はお支払いします。
WHOの定義では、マラリアは世界三大感染症の一つですが「顧みられない熱帯病」ではありません。
マラリアはまったく顧みられてこなかったわけではなく、治療薬が利用されているからです。2019年からはワクチンの治験も始まっています。
しかし、治療薬は、貧しい人たちが手の届く価格では提供されていません。
また、ワクチンも、子どもに4回接種して40パーセントの子どもに効果が出る段階なのでマラリア撲滅の決定打には至っていません。
この結果、マラリアは、WHOの推定では、2017年時点で全世界で2億1,900万人の患者と435,000人の死者を出しています。この患者数の92%、死亡者数の93%がアフリカの人々です。
そして、全世界でマラリアが原因で亡くなった方たちの61%を、免疫力を持たない5歳未満の子どもたちが占めています。
出典:
*厚生労働省検疫所『マラリアについて(ファクトシート)』https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/20190628.html
*NCBI(National Center for Bioltechnology Information
『The Cost and Cost-Effectiveness of Antimalarial 』Drugshttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK215621/