第31話 勇仁の説教
文字数 641文字
ひと安心したのも束の間、今度は勇仁のお説教が始まる。
「まったく、マルバ国王陛下が寛大なお方だったから、よかったようなものの……」
「……すまぬ」
「これに懲りたら、もう少し王女らしく上品にふるまうことですな」
阿梨を逞 しく育てたのは自分だという事実は棚に上げ、勇仁はここぞとばかり、
「だいたい姫さまはしとやかさに欠けます。こんな調子では、この先、嫁のもらい手もございませんぞ」
最初のうちこそしおらしく聞いていたが、阿梨の忍耐はすぐに限界を超え、
「ええい、うるさいっ。上品にしていて水軍の長が務まるか! 嫁になど行かんでいい!」
両手を握り、立ち上がった時だ。右の足首に鋭い痛みが走り、阿梨はがくりと膝をついた。
「姫さま !?」
「長 !?」
顔をしかめながら、足首を押さえる。先ほどから鈍い痛みはあったのだが、立ち上がった拍子に悪化させてしまったらしい。
「いかがされた !?」
「大事ない。さっきの騒ぎで足首を捻 ったらしい」
言いながら、いまいましい窮屈 な靴を脱ぎ捨てる。
さすがに勇仁もケガ人相手に説教を続けるのは不憫 と思ったのか、
「仕方ございませんな。続きは明日にするとして今夜はもうお休みなさいませ」
続きがあるのかと阿梨は身震いしたが、下手なことを口走ってお説教が再燃してはたまらない。今は口をつぐんでおく。
「まったく、マルバ国王陛下が寛大なお方だったから、よかったようなものの……」
「……すまぬ」
「これに懲りたら、もう少し王女らしく上品にふるまうことですな」
阿梨を
「だいたい姫さまはしとやかさに欠けます。こんな調子では、この先、嫁のもらい手もございませんぞ」
最初のうちこそしおらしく聞いていたが、阿梨の忍耐はすぐに限界を超え、
「ええい、うるさいっ。上品にしていて水軍の長が務まるか! 嫁になど行かんでいい!」
両手を握り、立ち上がった時だ。右の足首に鋭い痛みが走り、阿梨はがくりと膝をついた。
「姫さま !?」
「長 !?」
顔をしかめながら、足首を押さえる。先ほどから鈍い痛みはあったのだが、立ち上がった拍子に悪化させてしまったらしい。
「いかがされた !?」
「大事ない。さっきの騒ぎで足首を
言いながら、いまいましい
さすがに勇仁もケガ人相手に説教を続けるのは
「仕方ございませんな。続きは明日にするとして今夜はもうお休みなさいませ」
続きがあるのかと阿梨は身震いしたが、下手なことを口走ってお説教が再燃してはたまらない。今は口をつぐんでおく。