入間先輩の別荘地(3)
文字数 674文字
お菓子屋を出立したのが午前九時頃だった。
郡さんの言うには、それからなるべく早足で歩き通し、途中に茶店などもあり、昼食の他二、三回の休憩を挟んで、夕刻頃に別荘地へ到達した。その間さいわいに、学連からの追っ手はなかった。だが、別荘地へ着くや否や、待ち構えていたかのように襲撃を受け、二人が倒れた。狙撃だった。入間は、急いで別荘に入るよう皆を促したが、それは罠だった。敷地に入り強固な門が閉じられる途端、おそらくそれは入間の子飼いであろう獣が襲ってきた。入間はあっという間に館に駆け込んだ。まとまっていると、狙撃の的になる。散り散りになれば、獣の餌食になる。郡らは弱い者を内側に、なるべく狙撃の死角になる位置を探し、懸命に戦った。結果、二人が犠牲になり、狙撃手に決死の接近を試みた数人は深手を負いつつも何とか相手を仕留めた。
郡さんの言うには、それからなるべく早足で歩き通し、途中に茶店などもあり、昼食の他二、三回の休憩を挟んで、夕刻頃に別荘地へ到達した。その間さいわいに、学連からの追っ手はなかった。だが、別荘地へ着くや否や、待ち構えていたかのように襲撃を受け、二人が倒れた。狙撃だった。入間は、急いで別荘に入るよう皆を促したが、それは罠だった。敷地に入り強固な門が閉じられる途端、おそらくそれは入間の子飼いであろう獣が襲ってきた。入間はあっという間に館に駆け込んだ。まとまっていると、狙撃の的になる。散り散りになれば、獣の餌食になる。郡らは弱い者を内側に、なるべく狙撃の死角になる位置を探し、懸命に戦った。結果、二人が犠牲になり、狙撃手に決死の接近を試みた数人は深手を負いつつも何とか相手を仕留めた。
その頃にはもう、日はどっぷり暮れていた。
館に攻め乗り込む隙も見あたらず、怪我人もあるのでひとまず、高い塀を注意深く乗り越えて敷地の外に退避。館から距離を置き、動けないものもいるので見張りを付けた上で数人が近くに薬局や民家を探しに行った。だが、薬を買えるような場所はなく、行き当たった民家はなぜか全てもぬけのからだったと言う。
館に攻め乗り込む隙も見あたらず、怪我人もあるのでひとまず、高い塀を注意深く乗り越えて敷地の外に退避。館から距離を置き、動けないものもいるので見張りを付けた上で数人が近くに薬局や民家を探しに行った。だが、薬を買えるような場所はなく、行き当たった民家はなぜか全てもぬけのからだったと言う。
郡さんの左右隣にしゃがみ込んでいる重傷者だった二人。事切れていたのか……。四人の亡骸は残念ながら塀の外には出せなかったという。獣に、食われてしまった者もいると。