素敵なアイデア

文字数 800文字

ある日、王妃さまは、他の人も慰めてみたいと思いました。
それは、言葉通りの意味ではなく、ちょっと複雑な思いつきでした。

すなわち、
自分が自分で自分を慰めることによって他人を慰めることはできるのであろうか?
……という、学術的な香りすら漂う、ややこしい着想でした。
わらわのオナニーがどれぐらい世の中に通用するのか試してみたい……。
そんな想いが根底にあったのだと思います。

趣味が高じて、というやつでしょうか。
恐ろしいですね。

ですが、やってる本人は「恐ろしい」とかそんな事、夢にも思わないもの。
素晴らしい思いつきじゃ!
……むしろこのように有頂天。

そういうことってありますよね。
ううう……このことばかり考えてしまって、夜も眠れぬ。
しかし、残念なことに星には他の人がいない。
自分一人では実現不可能。

か……鏡を使えば、どうじゃ?

映っておる自分の姿を他人と置き換えてみるのじゃ……。
が、どう考えてもプレイの一環の範疇を出ないと思われました。

て言うか、やってみた上でそう結論しました。正直に告白すれば。
こうなってくると欲求不満じゃ……。

慰めても慰めても想いが晴れぬ!
そのとば口をどこへと向ければよいやらわからぬままに、四六時中ちゅくちゅくちゅくちゅく……
あはーん。
それはそれで意外とけっこう気持ち良くて、一ヶ月ぐらいはハマッてました。
しかし、いつまでもこうしているわけには……
そしてついに王妃さまはダイレクトメールを出す事にしました。
「わらわのオナニーを見てくれる人、この指とーまれ♪」
王妃さまの職業は王妃です。
コピーライターじゃないので、そこは大目に見てあげましょう。

そして、このダイレクトメールを星々の世界へと送りつけたのです。
送り先は名簿業者から購入したのじゃ。
やがて、しばらくすると、ひとつの小包が届きました。
あら、なにかしら?
……。
荷をほどいて中を確めると、そこにはひとつの大きなパイナップルが入っていたのです。
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登場人物紹介

王妃様

小さな星でひとり暮し。

パイナップル

頼んだ憶えはないのに届いた。

ダイレクトメール

素晴らしい思いつきを、あなたへ。

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