第4話(5)

エピソード文字数 1,245文字

「彼女達は、一体……? そして、何を行っているのですか……?」
「アイツらも力のある者で、俺の仲間です。そんであそこの中では、くすぐりの刑が始まってるんですよ」

 失神するまでくすぐり、犯行を後悔させる。それが厚芽流の撃退法だ。

「色紙クンは、ああいう悪さをする敵には情けをかけますのよ。騎士の考えとは真逆ですが、血を流さないのもありですわ」
「『弱きを助け、悪は徹底的に粛清すべし』――とは違うけれど、そうですね。何でもなんでも殺すのは、正解とは言い切れませんね」

 先輩は表情を和らげ、前に出していた足を戻した。
 へぇ~。騎士さんって、悪は徹底的に粛清するのか。もし俺が騎士だったら、シズナは即一刀両断だな。

「皆さん、問題児はアイツで最後です。もう下賤な輩はいなくなったんで、ご飯にしましょう」
「そうですわね。では、ラーとミーを戻しましょう」
「そのままだと、食べにくいですよね。それに地球では、銃刀法違反になりますから――おや? その金剣、少し錆びていませんか?」

 腰を下ろそうとしていた先輩の顔が、不安げになった。
 さ、錆び、てる? それって、ヤバイのかな? 効果減少で、封印ならずで絶滅するのかな……? だとしたら泣くぞ。

「れ、麗平さん。サビって、マズイ?」
「聖剣の錆びは力が落ちてる証なんだけど、ラーとミーはそうならないはずですわよ。どこがそうなってますの?」
「そこですよ。先端から、十センチほど下の部分です」

 花丘先輩が指をさすので、二人で見てみる。ボクは心の中で『なにもないよ! 錆びなんてない! ないったらないっっ!』と、秘技・プラス思考叫び希望添えを発動させて見てみる。
 ど、どどどどどどどどどうかな……?

「…………俺には……。錆びは、確認できないな」

 これは、希望ではない。ホントに確認できなかったのだ。

「ウチも、ですわ。そんなのは、どこにもありませんわ」

 すぐに、麗平さんも同じ類のコメントをした。
 だ、だよね。上から下まで、ツルツルしてるもん。

「? おかしいな……? 少し見せてくれますか?」
「いいですわよ。どうぞですわ」

 金剣が花丘先輩に渡り、先輩は剣を熟視する。
 ドキドキ。ドキドキ。彼には、聖剣錆び発見人のスキルがあるのかな?

「どうですの? 見間違い、ですわよね?」
「……………………その、ようですね。光の反射でそう感じたようです」

 よ、よかったぁ。悲劇の幕開けかと、ヒヤッとしたよ。

「もぅ、驚かさないでくださいまし。シン――じゃなくて花丘センパイ、仕舞うので返してくださいな」
「すみませんね。それは致しかねます」

 先輩は空いている方の手を立て、拒否をした。
 ??? なんですの、これ?

「どうしたんですの? なんで返せないんですの?」
「それは、ですね。僕がこの剣を奪うからですよ!!

 予想外中の、予想外。花丘先輩は麗平さんに前蹴りを打ち込み、大きく飛び退った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み