あっさりと迷う

文字数 1,283文字

上京するってことは、田舎もんが都会に出ていくこと。
京に上ると書いて上京、だが行き先が京で無くとも上京は上京。
おら上京さするだー
おら上京さするだー
都会にさいくーだー
で、畑ばっかりで見通しの良い田舎で。
毒親のせいでろくに遊びにも行けず。
同年代があちこち出かけて楽しんでいた中高の頃も小遣いナシでひたすら勉強。
つまり、街歩きの経験値はほぼ0と言っても過言ではなく。
経験値0て。
人生、どんなことも経験値を溜めねばレベルは上がらんのですよ。
そして、経験しても数値が入るとは限らず、上がったレベルもゲームと違って維持するにはやり続けなければならない
ゲームの様に、やればレベルが上がって、そのまま下がらず、にゃんならスキルが付与されたら、さぞかし生きやすいだろうにゃ。
本当に、ね。
で、街歩きレベル0の状態で田舎者が街に出る。
そして、田舎では見かけないものに興奮し、来た道すら忘れてしまう。
それなんて、迷子の羊。
(羊が遠くへ遊びに行って、そこが面白すぎて、帰る道
さえ忘れる。そんな讃美歌がある)
某占い的には羊ではありますが、迷ったところで羊飼いは迎えに来てくれません。
なので、とりあえず大きい道に戻って駅に向かおうと。
7個入りデコポン350円を持ち、突然の雨に百均の折り畳み傘をさしながら涙目になりました。
具体的な金額と個数を覚えている謎の記憶力……それにしても安いにゃ。
そう、安いからと買って、ウキウキしながら外に出たら雨。
軽くはない柑橘類をひっさげ、持ちにくい傘で雨を凌ぐ。
そして、迷う。
まあ、雨だと視界もよろしくないしにゃ。
それでも、道は覚えてお
入ったドアと出たドアが違うところだったんですよぅ!
まさか、地下のスーパーで買い物をして、そこから通路を通って他の店に行って、ぐるぐる回ってから出たら、国道を挟んだ道に出るだなんて、田舎もんには想像もつかなかった!
田舎って、地続きの平たい店舗が多いもんにゃ。
駐車場が広く取られて店自体もその広さに応じて平たくなっているにゃ。
そう。
だから、田舎なら、出るドアは違っても面している道は同じだった。
だが、まさか国道を挟んで店が続いているとは思わなかった。
これが、空中にある通路なら、窓越しに移動しているかが分かるのですが。
カントリーロード
挟んでー
店がーつーづーくー
で、どちらかが細い道なら気付きやすかったのですが、どちらも数車線ある道でして。
あれ? この道はどっちのロードでしょう?
みたいなことに。
んな、どこぞの料理SHOWみたいな。
人間、混乱すると要らん事を考えてしまうものです。
現実逃避とも言うやつですが。
現実逃避そのものにゃ!
で、なんとか記憶を頼りに知っている道に戻り、安いスーパーはちょくちょくお世話になりました。
まあ、道を挟んで移転した後、増税を前に閉店しましたが、そのスーパー。
スーパーが元在った場所に至っては、今や更地ですね。時の流れは残酷です。
残酷な時の流れ、具体的には何年……
高校卒業したての年からアラサーへ。
それはそれで残酷な時の流れ。
幸せな家庭を築いていたら、残酷な時の流れではなかったでしょうが。
しょっぱい話にゃ。
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登場人物紹介

作者代理

 
眼鏡でコミュ症な田舎育ち
毒親育ちが故に歪んでいる

イマジニャリーフレンド

 
モフやかなツッコミ役

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