第四章 三十四話 「ウィリアム・R・カークス」

文字数 7,382文字

時折、ARVN兵士の談笑する声が聞こえてくる以外、虫の音しかしない静かな夜の中でウィリアムは自分自身の過去をイーノックに語り続けた。
「今思えば、その時点で私達の道は既に別れていたのかもしれない…。」
共に夢を追い、同じ正義を見つけようと誓い合った"彼"が凶暴に変わっていくのは、十九歳の若いウィリアムの心には耐え難いものだった。自分を絶望の淵から助け、その上、生きる意味さえも共に見つけてくれた最愛の親友、そんな"彼"がベトナムに来てから半年が経った頃には平気で民間人を殴り侮蔑し、死体を解体するような人外のような人間に変わってしまった…。その姿を見て、自分自身の変わりようと見えない未来にも絶望していたウィリアムはある日突然、何の前触れもなく始まった戦闘で負傷し、敵に捕らえられてしまった。
「死を覚悟した…、二度と国に帰れないとも…。」
ウィリアムは捕虜になることを知らないイーノックにその時の絶望を語った。だが、かつて"彼"がウィリアムを絶望の中から助け出した時のように、その時も奇跡と言えるような希望は絶望の中で芽生えたのだった。
「幸いにも私が捕らえれた村落は捕虜に対しても温厚な場所だった。」

ウィリアムは自分が想像していたのと全く異なる、チューチリンの村での捕虜生活に驚くとともに心の何処かでは安堵すら感じていた。
もう人を殺さなくて良いんだ、あんな酷い事をしなくても良いんだ…。
そんな不思議な安心感に包まれた、奇妙で静かな捕虜生活の中である初老の男が毎日、ウィリアムに話しかけてきた。いや、正確にはその男は捕虜が精神に異常をきたさないよう、毎日彼らと会話し、捕らえられたアメリカ人の過去と未来への願望を聞き、彼らに救いの言葉をかけていた。そしてある日、ウィリアムは偶然にして、自分達に話しかけてくるその男が"正義の語り手"である事を知ったのだった…。

「私は彼に問うた…、真の正義というものを…、だが…。」
静かな星空を見上げて過去を回想するウィリアムの横顔は何処か物悲しかった。

ずっと探し続けていた"正義の語り手"に遂に出会うことができた…。
ウィリアムはいつものように話しかけてきた"語り手"の男に彼が民族戦線の兵士達に教示する絶対的な正義とは何なのか、そして自分が探し求める正義にはどうすれば辿り着けるのか問うた。長い間見つけられず、もしかすると永遠に見つけられないかもしれないと思っていた問いの答えを地獄の果てまで来てようやく得ることができると、胸を高揚させていたウィリアムだったが、"語り手"が彼に与えたのは答えではなく、問いだった。

「どちらの答えを選んでも正しい。だが、どちらを選んだとしても何かが失われ、誰かが悲しむ結果になる未来が待っている。そんな正義と正義がせめぎ合う二律背反の問いだった…。」
"語り手"がウィリアムに課した問いは簡単に答えが出るものではなかった。だが、ここで答えを誤れば、自分の求める正義の答えをを得ることができなくなるかもしれない…。そう考えたウィリアムはその夜は一晩中寝ることなく、与えられた問いの答えを考え続けた。だが、翌日、"語り手"が再びやって来た時、ウィリアムはまだ答えを出し切れていなかった。
運でやり切るしかない…。
そう思ったウィリアムは直感的に選んだ選択肢の方を答え、その選択が正しいと考える理由を全身全霊で説いた。
ウィリアムの熱心に説明する様子に"語り手"は静かに頷き続けていた。その反応を見て、答えが正解だったに違いない…、と思ったウィリアムは意気揚々としながら説明を終え、"語り手"が自分の問いに対する答えを語り出してくれるのを静かに待ったが、ウィリアムの回答の後、暫くの間沈黙して、ゆっくりと口を開いた"語り手"の口から語られたのは答えではなく、またしても問いだった。前日と同じ、どちらの答えも正しく、同時に間違ってもいる二律背反の問い…。一度だけでは不十分だったのかとウィリアムは更にもう一晩悩んだ。そして、またしても答えを出すことができず、直感で答えた。そして、また新たな問い…。そんなことが何十回と続いた。

「彼は私に絶対の正義を教えるつもりがないのかもしれないと思った…。」

ウィリアムは"語り手"に直接、自分の疑心を問うたこともあったが、"語り手"は静かに「君の資格を試しているのだ。」とウィリアムをたしなめるだけだった。
すぐ近くにあるのに得ることのできない答えにウィリアムが苛立ちを募らせつつも、"語り手"との正義の問答が続く日々、もしかするとこの退屈な日常が永遠に続くのではないかとウィリアムは不安に思っていたが、そんな静かな日々はある日、突然終わりを迎えたのだった。
地面を震わせる轟音と人体が焼ける独特の臭い、もう遠い過去となりかけていた戦場の存在を感知したウィリアムがある朝、眠りから飛び起き、捕虜を収容する小屋の中から竹格子の窓越しに外を見ると、ロケット弾ポッドと機銃で武装し、機首にはシャークマウスのノーズペイントが施されたUH-1イロコイの大群が上空を飛び回っているのが見えた。
友軍…。
敵の手から救出されるかもしれない状況に本来ならば心踊るはずだっただが、アメリカ製の攻撃ヘリを見た瞬間、再び戦場での残虐な日々に戻らなければならないと思ったウィリアムの胸の中には逆暗く重い何かがのしかかったのだった。
「助けてくれ!」
竹格子の窓から外の様子を窺っていたウィリアムに片言の英語で叫び、小屋の扉の鍵を外したのは"語り手"の息子だった。
「父さんが居ない!一緒に探してくれ!」
年は自分と同じくらいのそのベトナム人青年とは村の農作業や伝統行事の手伝いなどで一緒に作業をしたことがあり、彼が英語を喋れることもあって、ウィリアムは深い面識があった。父親の危機を必死に伝える青年の言葉に小屋を飛び出したウィリアムは青年と手分けをして、"語り手"を探すことにした。
ウィリアムが捕らえられていたのは武器も軍隊も無い単なる小さな集落…、そこが襲撃されるということはグリーンベレーが"語り手"の居場所を掴んで、彼を抹殺せんと強襲をかけたに違いない…。
"語り手"と共に議論した半年ほどの月日の中でウィリアムは彼が単に民族戦線や北ベトナムの味方をしている訳ではないことに気づいていた。"語り手"は全ての人を救おうとしている。だが、恐らくはその"語り手"を一方的に危険人物と見なし、最初に暗殺作戦を仕掛けたのはアメリカと南ベトナムの方なのだろう…。だから、彼は両国の手の及ばない中部高原のジャング奥深くに身を潜め、結果として民族戦線に味方する形となったのだ…。
しかし、"語り手"を南ベトナムに連れ戻すことができれば、この戦争を終わらせることができるかもしれないとウィリアムは思っていた。
彼を絶対に死なせてはいけない…!
そう胸中に決意し、全速力で焼ける村の中を疾走するウィリアムの存在に気がついたアメリカ軍の偵察ヘリコプター、OH-6カイユースがドアガンのM60を村人に掃射しながら、ウィリアムを拾い上げようと、卵球型の機体を降下させてきたが、ウィリアムはそれすらも無視して走り続けた。そして、集落の外れで"語り手"が民族戦線の高官達との談合に使っていた木造の建築物があった場所でウィリアムは遂に彼を見つけたのだった…。
伝統的な木製の高床式建造物はロケット弾の直撃を受けて、焼け火箸となっており、辺りに散らばった丸太や肉片が焦げて転がる中に"語り手"は大きな木柱の一つに下半身を挟まれる形でうつ伏せに倒れていた。
思わず"語り手"の名前を叫び、走り寄ったウィリアムだったが、既に遅かった。木柱に挟まれた"語り手"の腰は完全に潰れ、皮一枚になってしまった下半身からは大量の血液と組織を漏れ出していた。そんな瀕死の状態の"語り手"は最後の力を振り絞って、傍に寄って来たウィリアムの顔を見上げると、掠れた声で伝えた。
もう自分の事は良い…。
呻くような声でそう言った"語り手"の姿にウィリアムは自分がいかに無力だっだか思い知らされると同時に、戦争を終わらせることのできる唯一の希望を失ったことに絶望して泣き崩れた。
死なせてしまった…、彼こそが最後の希望だったのに…。
背後で爆発と銃声が轟く中、肩を震わせて「すみません!」と何度も謝るウィリアムに"語り手"は最後の気力を振り絞って手を伸ばした。
「もう…、答えは…、与え…、た…。」
そう言った"語り手"の手にはよく見た米国製の拳銃が握られていた。コルト・ガバメント…、スライドに英語とベトナム語で何かの文章が彫られた、四五口径の自動拳銃を受け取り、その重みにハッとして顔をあげたウィリアムに"語り手"は最初で最後の頼みを託した。
「息子を…、家族を…、守ってくれ…。」
そこまで言ったところで全ての気力を使い尽くしたかのようにガクッと首を折って力尽きた"語り手"にウィリアムは返事をすることもできなかった…。
何故、彼がアメリカ製の自動拳銃を持っていたのか、スライドに書かれた文章の意味は何か、そんなことを考える余裕はその時のウィリアムには無かった。ただ、"語り手"が最期に託した願い、彼の家族を守る…、その目的だけを胸にウィリアムは嗚咽で震える体を抑えて、今度こそ守るべき人を助けるために、燃え上がるチューチリンの村を再び走り出した。
あちこちで木造の家屋から炎と黒煙が立ち昇り、崩れた家屋の陰から助けを求める呻きとすすり泣きが聞こえる中、銃声と爆発音が轟く度に悲鳴と怒声が響き渡る集落を"語り手"の家族を探して、数分ほど疾走したウィリアムは聞き慣れた声を聞いて足を止めた。もう遠い過去の声をのように懐かしく聞こえる、よく聞いた"彼"の声…、気のせいかと思い立ち止まって耳を澄ませたウィリアムは再び声がした方へと走り出した。
「嘘をつけ!お前らはベトコンだろう!」
怒鳴り声のように聞こえる、"彼"の声がした方へ向かって、白い硝煙の中を走ったウィリアムは白煙の霧が晴れると同時にそれから数年間、目に焼き付けて離れなくなる光景を目にした。
地面に倒れ伏した"語り手"の息子と二人の娘にM16の銃口を突き付ける濃緑色の戦闘服姿…。見間違うはずのない親友の姿を見て、ウィリアムは思わず"彼"の名前を叫んだ。
自分の名前を呼んだ声に気づいて背後を振り返った"彼"はウィリアムの姿を見つけて、「お前…。」と驚愕した表情を浮かべた。だが、死んでいたと思っていた親友が予期せぬ場所で以前と変わらない姿であらわれた事に"彼"とウィリアムが喜びを表現する時間は無かった。それよりも先に"彼"の注意が逸れたのをついて、娘の一人が逃げ出したのだった。
「待て!逃げるな!」
隙を見計らって逃げ出そうとした"語り手"の娘の動きを察知した"彼"が振り返って、娘の背中にM16を撃ち込もうとした瞬間、"語り手"に託された最期の頼みが脳裏に走ったウィリアムはその請いとともに渡されたコルト・ガバメントを構えて、引き金を引いた。
「止めろ!」
一発の拳銃弾の銃声に続いて、M16の連続射撃音が轟き、足元に小銃弾が弾けた娘はつまずいて、その場に倒れた。一瞬、何があったか理解できず、呆然とした"彼"は頬を伝った温かい血の感触に事態を悟ると、激昂とともにウィリアムにM16の銃口を向けた。
「お前も敵か!」
当てるつもりはなかった。いや、考える間もなく取った行動にウィリアムは「違う…!」と弁明したが、この状況でその言葉を信じる方が難しかった。
「敵でないならば、何故撃った!」
M16の銃口越しに初めて向けられる親友の激烈な憎悪と敵意に気圧され、ウィリアムは唖然としたまま、後退りすることしか出来なかった。
「彼らは…、敵じゃないからだ…。」
何とか喉から出すことができた言葉はしかし、この緊迫した状況の中では意味を成していなかった…。しどろもどろなウィリアムの返答に舌打ちをついた"彼"は再び怒声を上げた。
「こいつらが敵でないと信じる根拠がどこにある!」
「それは…。」
今度は返すこともできず、狼狽えるしかないウィリアムの顔を見返した"彼"は「なるほど…。」と呟き、そしてウィリアムに問うた。
「それがお前の信じる正義なのか?」
分からない…。自分の信じていた正義が今どこにあるのか、それが一体何を指すのか…。
最後の希望だった"語り手"も失い、答えを返すことができないウィリアムに"彼"は更に問い続けた。
「俺を撃つことが…、お前の正義なのか?」
違う…!
そうはっきりと答えようとしたが、敵意と憎悪に満ち、純粋さと優しさに満ちた過去からは変わり果ててしまった親友の目を見た時、ウィリアムはその言葉を口に出す事が出来なかった…。
「ならば…。」
そこまで言った"彼"がM16のトリガーガードにかけていた指を引き金に置いた。
「お前を撃つことが俺の正義だ!」
怒声とともに引き金が引かれる音が聞こえたような気がして、ウィリアムは死を覚悟した。だが、それと同時に、これで答えの見つからぬ正義を探して地獄を彷徨わずに済む…、そんな奇妙な安堵が胸の中を包み込むのを感じたウィリアムだったが、彼の耳に聞こえたのは引き金を引く音ではなかった。
敵兵の意識が完全に逸れた隙に妹達を走らせ、自分は傍らに転がっていた岩石を手に傍らのアメリカ兵に殴りかかった"語り手"の息子の絶叫にハッとして振り返った"彼"の側頭部に次の瞬間、拳大の岩石が叩きつけられた。高マンガン鋼板のヘルメットに叩きつけられた岩石が粉々に砕け散り、一瞬姿勢を崩した隙に"彼"に組み付いた"語り手"の息子だったが、形勢を完全に逆転するにはベトナム人の若者は非力過ぎた…。
組み付いてきた"語り手"の息子を腕力の差で弾き飛ばした"彼"は続けざまにM16の銃床をベトナム人青年の顔にめり込ませ殴り倒した。そして…。
突然の出来事にどちらを味方するべきか分からなかった。いや、どちらも自分にとって大切な存在…、そのどちらに与するのかという、まるで"語り手"が課してきた正義の問いのような、答えの出ぬ状況に呆然としていたウィリアムだったが、"彼"が"語り手"の息子を殴り押した次の瞬間、携行していたM16を構えて、逃げる少女達の背中を銃撃しとうとするのを見た刹那、ウィリアムは決断に迫られた。
「止めろぉ…!」
ウィリアムの怒声が響き渡り、続いて構えたコルト・ガバメントの銃声が村中に轟いた。断末魔のような叫びを聞いて、弾丸が直撃する瞬間、自分のことを振り返った"彼"の目をウィリアムはその後、永遠に忘れることはなかった。その瞬間の"彼"の目には敵意も憎悪も無かった…。ただ、自分を救ってくれた時と同じ優しさがあるだけ…。
俺の答えは間違っていたのか…?
その疑心にウィリアムの体が震えた瞬間、コルト・ガバメントの銃口から弾き出された.45ACP弾は"彼"の左胸に直撃し、その心臓を抉って最後は肺に突き刺さった…。
まさか親友に本当に撃たれるとは思っていなかった…、そんな驚いた表情のまま、背中から地面に倒れた"彼"にウィリアムは震える足で駆け寄った。
「すまない…!すまない…!すまない…!」
自分が撃った弾に当たり、死にかけている親友にウィリアムは詫び続けることしか出来なかった。そんなウィリアムに、心臓から溢れ出した血に肺を満たされ吐血し、弱くなる呼吸とともに意識が薄れていく中、"彼"は最期の力を振り絞って声をかけた。
「なぁ…、俺達は"絶対正義"を見つける事が出来たのかな…?」
その問いに未だ自身の正義を見つけることができていないウィリアムは自責の念と無力感に押し潰されそうになりながらも、最期の時を迎えようとしている親友に嘘をついた。
「ああ…、見つけたよ…。俺達の正義だ…。」
零れ落ちる涙を見て、"彼"が最期にウィリアムのついた嘘を見抜いたのかは分からない…。ただウィリアムに出来るのは、その嘘を聞いて静かに息絶えた"彼"の魂が絶対正義の安住の地へと渡ったと祈る事だけだった。
その後、ウィリアムはすぐに別のアメリカ軍兵士によって拘束され、母国に送還された後、軍法会議を受けた。"語り手"の息子は自分の妹達を助けてくれたウィリアムをカンボジアの民族戦線基地に一緒に連れて行くことで救おうとしたが、ウィリアム自身がそれを拒否した。
もう良い…、俺は…、自分の正義がどれほどのものだったのか、裁きを受けて知りたい…。
全ての人を救う正義を求めて戦場へと向かった一人のアフリカ系アメリカ人はその正義を求める中で数奇な運命を辿り、最後に最愛の親友を自分自身の手で殺めた。そんな彼に下された判決は絞首刑だった…。

一九六八年四月四日、ウィリアムが正義を求めて戦場を彷徨っていた頃、彼に希望と人生の目的を与えたマーティン・ルーサー・キング牧師がテネシー州メンフィスにて、白人青年の凶弾に撃たれて帰らぬ人となった。
牧師の墓標には「遂に自由を得た」と記されている。だが、その言葉がもし本当ならば、我々人間は死してしか、本当の自由も平等も得ることは出来ないのか…。

一九六八年の冬、死刑判決を受けたウィリアムはレブンワース刑務所の独房の中で刑が執行されるその日を待って、日々の連続を"ただ生きて"いた。希望を待つことも、感情を昂らせることもなく、既に死んだも同然の抜け殻のような状態となって、食事も殆ど手につけずに部屋の隅で小さく丸まっている彼のことを冬のある寒い日、一人の男が訪ねた。
「国防総省特殊戦研究科所属、エルヴィン・メイナード陸軍大佐だ。私は君の正義をともに追いたい。」
鉄格子の窓から差し込む冬の朝日を背中に自分にそう語りかけた見知らぬ白人の陸軍大佐の姿は"正義の語り手"のように、どこか力強い信念に裏打ちされているようで、廃人同然となって死を待つだけだったウィリアムはその男を見た瞬間、数カ月ぶりに揺り動かされる自分自身の心を感じた。
もう一度、この男にかけて自分の正義を探してみようか…。
弱り切った心でそう決意した彼は独房を出るとともに新しい人生とそして新しい名前を得た。その名前は"彼"自身が殺めた彼の親友の名前、ウィリアム。ウィリアム・R・カークスだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

*ウィリアム・ロバート・カークス


本作の主人公。階級は大尉。米陸軍特殊戦用特殊部隊「ゴースト」のブラボー分隊を率いる。

八年前、ベトナム戦争従軍中、ベトナム共和国ダクラク省のチューチリンで起きた"事件"がトラウマとなり、現在でも戦闘中に襲ってくるフラッシュバックに悩まされている。


ゲネルバでの大使館占拠事件の際には、MC-51SD消音カービンを使用し、サブアームにサプレッサーを装着したH&K P9Sを使用する。


#特徴

黒人

身長は一八〇センチ台前半。

髪の毛はチリ毛だが、短く刈っている上に何らかの帽子などを被っていることが多いため、人前に見せることは少ない。

#イーノック・アルバーン


第七五レンジャー連隊・斥候狙撃班に所属する若きアメリカ兵。階級は登場時は上等兵、「ゴースト」の作戦に参加したことで伍長へと昇進した。


彼の兄で、ベトナム時代のウィリアムの戦友だった故ヴェスパ・アルバーンの代わりに、「ゴースト」へと招集される。


実戦を経験したことはないが、狙撃の技術に関しては、兄譲りの才能を見せる。


#特徴

白人

身長一八〇センチ前半台

短い茶髪 

*クレイグ・マッケンジー

元Navy SEALsの隊員でアールと同じ部隊に所属していたが、参加したカンボジアでのある作戦が原因で精神を病み、カナダに逃亡する。その後、孤児だったレジーナを迎え入れ、イエローナイフの山奥深くで二人で暮らしていたが、ウィリアム達の説得、そして自身の恐怖を克服したいという願いとレジーナの将来のために、「ゴースト」に参加し、再び兵士となる道を選ぶ……。


*特徴

年齢29歳

くせ毛、褐色の肌

出生の記録は不明だが、アメリカ先住民の血を強く引く。

*アール・ハンフリーズ


序章から登場。階級は少尉。「ゴースト」ブラボー分隊の副官として、指揮官のウィリアムを支える。 

その多くが、戸籍上は何らかの理由で死亡・行方不明扱いになり、偽物の戸籍と名前を与えられて生活している「ゴースト」の退院達の中では珍しく、彼の名前は本名であり、戸籍も本来の彼のものである。


ゲネルバ大使館占拠事件では、ウィリアムと同じくMC-51SD消音カービンをメイン装備として使用する他、H&K HK69グレネードランチャーも使用する。


#特徴

白人

身長一九〇センチ

金髪の短髪

*イアン・バトラー


「ゴースト」ブラボー分隊の隊員の一人で階級は先任曹長。戦闘技能では狙撃に優れ、しばしば部隊を支援するスナイパーとしての役割を与えられる。

年齢は四十代後半であり、「ゴースト」の隊員達の中では最年長で、長い間、軍務についていたことは確かだが、正確な軍歴は分隊長のウィリアムでも知らない。


ゲネルバ大使館占拠事件では、降下してくる本隊を支援するため、サプレッサーを装着したレミントンM40A1を使用して、敷地内のゲネルバ革命軍兵士を狙撃する。


#特徴

白人

やや白髪かかり始めた髪の毛

*ジョシュア・ティーガーデン 


「ゴースト」ブラボー分隊の通信手を務める一等軍曹。巻き毛がかった金髪が特徴。周囲の空気を敏感に感じとり、部隊の規律を乱さないようにしている。


各種通信機器の扱いに長け、リーと同様に通信機器に関してはソビエト製のものや旧ドイツ、日本製のものでも扱える。


#特徴

白人

身長一八〇センチ台前半

金髪

*トム・リー・ミンク


「ゴースト」ブラボー分隊の隊員の一人で、階級は一等軍曹。身長一七〇センチと「ゴースト」の中では小柄な体格だが、各種戦闘能力は高く、特に近距離でのナイフ戦闘技能と爆発物の扱いには優れている。特にミサイル、ロケット系の兵器に関しては、特殊訓練の結果、ソビエト製兵器でも使用できる。


気の強い性格から、他の隊員と口論になることもあるが、基本的には仲間思いで優しい性格である。

だが、敵となったものに対しては容赦のない暴力性を発揮する。


同部隊のアーヴィング一等軍曹とはベトナム戦争時から同じ部隊に所属しており、二人の間には特別な絆がある。


#特徴

アジア系アメリカ人

身長一七〇センチ

*アーヴィング・S・アトキンソン 


「ゴースト」ブラボー分隊の隊員の一人で機銃手を務める大柄な黒人兵士。 階級は一等軍曹。


その大柄な体格とは逆に性格は心優しく、穏やかであり、部隊の中でいざこざが起こったときの仲裁も彼がすることが多い。


トム・リー・ミンクとはベトナム戦争時代からの戦友。


#特徴

黒人

身長一九五センチ

*ハワード・レイエス


「ゴースト」ブラボー分隊の隊員で、前衛を務める。階級は曹長。

父親は不明、母親はメキシコからの不法移民でヒスパニック系の血を引く。7歳の時、母親が国境の向こう側へ送還されてからは、移民が集合するスラム街で生活。学校にも通っていなかったが、自発的に本から学んだことで、米国の一般レベルを上回る知能、知識を持ち、スペイン語をはじめとする語学に堪能。


ゲネルバでの作戦時には、部隊の先頭を切って勇敢に突撃したが、後にウィリアムの身代わりとなって死亡する。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み