第3話 私より有能な人々

文字数 925文字

 最近はそうではありませんが、昔は職場恋愛で結婚退職する女性が多くいました。

 私より高学歴で有能な女性達が次々と()めていくのを見送って、その度にとても不可思議(ふかしぎ)な、狐につままれたような気持ちになりました。
なぜあんなにも賢い彼女達が専業主婦になって、なぜ()えない私がずっと働いているのか? 損失じゃないか。


 それから私の職場にはメンタル面で休職する職員が数名いるのですが、その職員の残した仕事が回ってくることがあります。当該(とうがい)職員は学歴もプライドも高く、私を下に見ていた筈なのに……やれやれ、です。

 また、精神疾患と思われる方から(ののし)られることもあります。
こういう仕事も給料のうちだと割り切りますが、極端な人の被害者意識は(よろい)のよう、怒りの結び目は固く、しかもグチャグチャに(から)まっていて、相手が疲れるまでクレームを聞かなければならない耐久レース。

 休職している本人や、私に攻撃してきた精神疾患の方は(つら)いのでしょうね。自分ではコントロールできないのでしょうから。
あなた方は大変傷ついているのですよね、でも、周囲の人も傷つくんですよ。


 そうそう、最近、私、仕事上ですが訴えるとの書面をもらっています。私に落ち度は無く相手の言いがかりなのですが。
矢面(やおもて)に立って仕事をしていると、そういう目にも()いますよね。


 それで最近思うようになりました。
たいして取り柄がなくても、毎日会社に行って、パッとしなくてもとりあえず何かしら仕事をして帰ってくる、持久力(じきゅうりょく)のある自分をもっと評価してもいいんじゃないか? と。
 仕事をしていなくても、エンドレスの育児、介護などをしている人も含みます。24時間営業をしているようなものですから。
もちろん学生さんもです。

 なので、毎朝起きて、雨が降っても当然のように仕事場、学校に行って、ちゃんと帰ってくるみなさん、そして育児、介護をされているみなさんも。
当たり前のようになっているけど、その当たり前をこなす能力は評価されるべきですよ。

 私は派手な山師(やまし)のような人間の、ハッタリというか創作めいた武勇伝(ぶゆうでん)には興味がありません。地味でも真面目に生きている人間の中にこそ、地に足ついた武勇伝があると思っています。

自画自賛(じがじさん)し合いましょう。
みんな、すごいですよ。


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