マリアの美しき友人

文字数 1,481文字

週がかわって学校に行くと美羽が私のところへ走ってきた。
「マリア!」
「おはよう美羽!どうしたの?」
「聞いた?今日から転校生が来るんだって」
「ああ!知ってる!」
「さっき職員室でチラ見した子から聞いたんだけど、すんごい美人なんだって!!」
「それも知ってるよ♪」
二宮さんのことだな。
女の私でもうっとりするくらいだったからなぁ……
「なんでマリア知ってるんだよ?」
詩乃が聞いてきた。
「うん。先週転校の手続きに来てるときに偶然会ったの」
「で!?どうだった!?」
「美羽、興奮しすぎだよ」
私は笑ってなだめた。
予鈴が鳴ってみんな席に着く。
少ししてから先生が教室の扉を開けた。
続いて二宮さんが入ってくる。
教室がざわついた。
「え~今日はみんなの新しいクラスメートを紹介する。二宮リリ君だ」
先生が黒板に二宮さんの名前を書きだす。
「二宮です」
静かに言うとぺこりと頭を下げた。
それを受けて男子が盛り上がる。
二宮さんは先生に言われた席に歩いて行くときに私を見ると微笑んで軽く手を振った。
私も同じように返す。
一時限目が終わるとさっそく男子が二宮さんのところに殺到した。
私は美羽と詩乃の三人で窓際にいた。
「すごい人気ね~」
美羽がその様子を見ながらぼやいた。
「だってあれだけ綺麗なんだもん」
私が言うと美羽は、
「だけどなんか冷たそう」
「そんなことないよ。彼女けっこうくだけてんだから」
二宮さんは話しかけてくる男子に愛想よく笑顔を振りまいている。
とても冷たいような感じはしない。
「いいんじゃねえの?これでマリアの周りも少しは静かになるだろ?」
詩乃が窓枠に寄りかかりながら言った。
「それにしても男子も節操ないわ。この前までマリアに寄って来てたくせに」
「美羽、そんなことないって」
「私は納得いかないなぁ~」
私達が窓際で話していると二宮さんが席を立ってこっちに来た。
ニッコリとして私に話してきた。
「高原さん、私の言った通りになったでしょう?」
「ああ!同じクラスになるって言ってたもんね!」
あのとき二宮さんは同じクラスになれると言っていた。
「私、そういう勘あたるの」
「私もビックリ!」
「あのときの続きってわけじゃにけど、私と友達になってくれない?」
「お安い御用よ。私でよければ!マリアでいいよ」
「じゃあ私はリリでいいから」
私達のやり取りを見ていた詩乃と美羽にもリリは話しかけた。
「マリアのお友達でしょう?良かったら私とも仲良くしてね」
「ああ。いいぜ」
「こ、こちらこそ」
詩乃は普通だけど美羽はちょっと遠慮がち。
「カッコイイ!マリアの彼氏?」
リリが詩乃を見て言う。
「ええ!違うって。私の家族よ」
「家族?」
「まあ居候ってとこだな」
詩乃がリリに説明する。
「そうだったんだ。あんまりカッコイイからてっきり勘違いしちゃった… ごめんなさい」
「別に。気にしてないよ」
詩乃は笑って言うと改めて自己紹介した。
私は続いて仲の良い純をリリに紹介した。
リリは私と純、そして詩乃を見てから「不思議… なんだかとっても親近感があるわ。あなた達」と、私に小声で言った。
「そう言ってもらえると嬉しいけど」
私が返すとリリはクスッと笑った。

私達は放課後にリリの歓迎会をすることになった。
私がはじめてこの学校に来た時のように。
ただ、残念なことに純は用事があるので不参加だった。
私だけには教えてくれたけど校長先生と学校関係の大事な用事らしい。
わかってはいるんだけど残念だった。













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