第12話 探索
文字数 964文字
早朝から歩き続けて、そろそろ正午になる。
ここらの木々には、退魔師たちがつけた目印がびっしりと刻まれている。フォスターも、あちこちに符牒を刻みながら歩いている。
かなりゆっくりしたペースだが、ルナ=サリナイは息を乱していた。もっとも、山歩きとは無縁の巫女であることを思えば、十分よくやっていた。
フォスターは、たびたび立ち止まって、地面を調べていた。足跡や、獣の糞を探しているのだ。
もっとも、こんな街の近くに魔獣はいない。普通は、もっと森の奥へ入ってから、待ち伏せするポイントを探すものだ。
あんなに時間をかけて、フォスターは何を調べているのか?
*
ルパードのことはあまり好きではなかった。口数が多く、うさんくさい男だと思っていた。
兄はひどく称揚していたが。
*
退魔師たちに踏み固められてできた空き地で車座になり、昼食をとった。
携帯食料は、ミナの薬草店で調達している。焼き固められた味付け餅、芋と、干した果物、少しの燻製肉。
あまり味はしなかった。もっとも、ここしばらく、食べ物をうまいと思ったことはない。
*
日が暮れるまで歩いて、野営にした。
結局、今日1日で、通常の3分の1ほどしか歩いていない。
それでも、ここまで来れば十分、魔獣の生息地域に入っている。
木々のあいだの、ほんの少し広くなった窪地のようなところを、野営地とした。
アーサーが、火打ち石で種火をおこす。枝のあいだに防水布をはり、風よけにする。天幕を持ってきていないので、火のまわりで毛布にくるまって寝ることになる。
今回は、二人ずつ、交代で見張りにたつ。睡眠時間を確保するため、食事は見張りのときに交代でとることにした。
順番は、フォスターが決めた。
*
「フォスター、」
思いきって、アーサーは口をひらいた。
「エルのことだけど、──」
「言うな。」
フォスターはぴしゃりと遮った。
「自分で解決するしかない。そういうものだろう」
*
兄が死ぬ夢を見た。
幾頭ものとかげ鳥に、爪で切り裂かれ、ついばまれる夢だ。
実際には、そんな場面は見ていない。
エルは、カルナーにずっとついていたし、兄はルパード隊長のそばにいたはずだ。
だが、同じようなことはきっと起こったのだろう。
ここらの木々には、退魔師たちがつけた目印がびっしりと刻まれている。フォスターも、あちこちに符牒を刻みながら歩いている。
かなりゆっくりしたペースだが、ルナ=サリナイは息を乱していた。もっとも、山歩きとは無縁の巫女であることを思えば、十分よくやっていた。
フォスターは、たびたび立ち止まって、地面を調べていた。足跡や、獣の糞を探しているのだ。
もっとも、こんな街の近くに魔獣はいない。普通は、もっと森の奥へ入ってから、待ち伏せするポイントを探すものだ。
あんなに時間をかけて、フォスターは何を調べているのか?
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ルパードのことはあまり好きではなかった。口数が多く、うさんくさい男だと思っていた。
兄はひどく称揚していたが。
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退魔師たちに踏み固められてできた空き地で車座になり、昼食をとった。
携帯食料は、ミナの薬草店で調達している。焼き固められた味付け餅、芋と、干した果物、少しの燻製肉。
あまり味はしなかった。もっとも、ここしばらく、食べ物をうまいと思ったことはない。
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日が暮れるまで歩いて、野営にした。
結局、今日1日で、通常の3分の1ほどしか歩いていない。
それでも、ここまで来れば十分、魔獣の生息地域に入っている。
木々のあいだの、ほんの少し広くなった窪地のようなところを、野営地とした。
アーサーが、火打ち石で種火をおこす。枝のあいだに防水布をはり、風よけにする。天幕を持ってきていないので、火のまわりで毛布にくるまって寝ることになる。
今回は、二人ずつ、交代で見張りにたつ。睡眠時間を確保するため、食事は見張りのときに交代でとることにした。
順番は、フォスターが決めた。
*
「フォスター、」
思いきって、アーサーは口をひらいた。
「エルのことだけど、──」
「言うな。」
フォスターはぴしゃりと遮った。
「自分で解決するしかない。そういうものだろう」
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兄が死ぬ夢を見た。
幾頭ものとかげ鳥に、爪で切り裂かれ、ついばまれる夢だ。
実際には、そんな場面は見ていない。
エルは、カルナーにずっとついていたし、兄はルパード隊長のそばにいたはずだ。
だが、同じようなことはきっと起こったのだろう。