第3話 海の波

文字数 468文字

寄せては返す、海の波。
様々な形に変化する。

・・・あ、母の笑顔?

一瞬、そんな形になったかもしれない。
でも、一瞬のことだ。
形は、一瞬で崩れ、もとの海へと帰っていく。


火葬場で母を送った。
・・・もう、起き上がらないんだ。
棺の中に横たわっているのは、母の亡骸。
・・・さようなら。

母は、病だった。
入院していた。
病室で、私が看取った。
静かな旅立ちだった。
無くなる前と亡くなった後で何かが変わるんだろうか?
何も変わっていないように見えた。
・・・でも、心臓は止まっていて、息もしていない。
何かが変わったんだろうか?
・・・もう、母は帰ってこない。

火葬場で母を送った。
母を作っていたものは、どこへ行ったんだろう?
・・・分子? 原子? バラバラになって・・・
たまたま組み合わさって母を構成していたの?
・・・分子? 原子? バラバラになって・・・
母を作ってい原子たちは、今も地球のどこかにあるんだよね。


寄せては返す、海の波。
様々な形に変化する。

・・・あ、母の笑顔?

一瞬、そんな形になったかもしれない。
でも、一瞬のことだ。
形は、一瞬で崩れ、もとの海へと帰っていく。
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