プロローグ

私は天野　愛（てんのあい）（２２）。新卒で王国商事㈱に入社しました。中堅の総合商社なのだけど。社訓やイエス部長と一二人の個性の強い仲間に囲まれ、働くことになりました。
　特にイエス部長は三〇代の若さで部長まで上り詰めた切れ者。この会社で数々の奇跡を起こし、先輩を差し置いて出世していく。
　でも、それを良く思わないパリサイ派の役員たちや仲間の中にもイエス部長を良く思わない人もいるようで、先行きが心配です。
　
先輩たちも個性が強いです。

まずペテロ先輩。出世欲が強くて、元漁師のせがれ、そして宴会芸の素質を見込まれイエス部長の直のオファーを受けたという変わり者。営業を得意の宴会芸（泰樹節）どじょうすくいでとってくる鉄人。イエス部長や仲間からの信頼も厚い。

ヨセフ先輩は、所帯持ちでお子さんもいるのだけれど、キャバクラや風俗にボーナスをつぎ込んで奥さんと良くトラブルになっている。会社の経費で落ちるキャバクラや高級クラブには必ず顔を出し、良く女の子とトラブルを起こす。この人は一回石打ちにされた方がいいと思う。

そんな先輩を引き締めるのが元国税の公務員をしていたヨハネ先輩。税金関係の管理が彼の仕事。知識も豊富で頼りになる先輩の一人です。

ユダ・イスカリオテ先輩は金策が得意で、会計の管理をしています。彼もイエスキリスト直々にリクルートしたメンバーの一人。ただ、お金に対して執着が強くてFXや株を就業時間に見ていたり。常にお金のことを考える人です。まあ仕事はできるのですが。

他のメンバーも強い個性を持っていて毎日が驚くことの連続です。私は、お茶くみと簡単な事務をマリア先輩（３１）から教えてもらっている。マリア先輩は仕事はできるのだけれど男癖が悪く婚約者がいるが他の男性と会っているのをこの間見てしまった。
　ちなみにイエス部長の母親と同じ名前だと言っていた。

今日は私の歓迎会がある。実を言うとすごく楽しみなのだ。