第3話(16)

エピソード文字数 1,216文字

「爽水が言ってた、ライバルの厚芽流シューシュー。ソイツも、金剣と銀剣を奪おうとしてくる気がするんだよね……」
「ウチも、右に同じですわ……。封印する日は、明日の午後七時――約二十四時間しかありませんが、それまでに現れそうな予感がしますわね」

 好敵手が狙ってるモノは、大抵ソイツも狙ってる。予想が当たって欲しくはないが、当たってしまうだろう。

「次にピンチになった時、例の謎の人に打つ手があるとは限らないわ。対策を練らないといけないわね」
「そーだねシズナちゃんっ。にゅむむむー、どーしよっかー?」
「すっごくベタだけどさ。つよーい英雄を一人護衛につけ、他人を近づけさせないようにするのが一番だろうね」

 麗平さんも英雄も俺も気配を読めないが、二人態勢でいれば不意打ちで盗まれる心配もない。学校では優星が、学校外では英雄がガードするのが適切でしょう。

「流石は色紙様っ。妙案でございます!」
「あたしも、それに賛成(さんせー)だよー。じゃーじゃー、誰がボディーガードさんになりますかーっ?」

 ん~。そうだな。

「通常モードの時は、まともだからね。ここはシズナに――」

 ブンブンブンブン
 すごい。御首の骨が折れそうなくらい、首を左右に振っている。

「最近、一晩に一回は怒られないと気分が乗らないの。私はパスよ」
「この上なくふざけた理由だなおい。たった一日だから我慢しなさいよ」
「それは、無理ね。赤ちゃんが因数分解をするくらい無理だわ」

 そんなにか。コイツはもし俺が死んだら、神経が衰弱してすぐ死にそうだな。

「はぁー、じゃあ踊り子侍さんに頼もうか。サク、お願いします」
「わ、わたくしめですか? 御言葉ですが任務は、優秀な黒真様が適任だと思うのですが……?」
「レミアは基本にゅむってて、同じ手に引っかかる危険性が高いんだ。アナタが適役なんですよ」

『お菓子どうぞ』→『にゅむむー、やったーっ。あむあむあむ、活美ちゃんもこれ食べよー』→『ふふ、それは毒だぞ。ミラルの生まれ変わりさん、仲間が死んでもいいのかな?』→『にゅむ!?』。
 俺に未来を視る能力はないが、まず間違いなくこうなる。よってこのにゅむっ子は、真っ先に除外しておりますです。

「にゅむむむー、あたしだってやる時はやるんだよー。どんなに美味しーお菓子とか飲み物が出たって、見向きもしないよーっ」
「ふーん」

 スタスタ
 有名なお店のソフトクリームを持った女子高生が、横を通る。
 チラチラ
 レミアちゃん、食べたそうにしてる。
 にゅむん。あげるよと言われたら、速攻飛びつく顔だにゅむ。

「はい護衛はサクに決定ー。気持ちを軽くするためにケーキを食べ、そのあとは帰って休みましょう」

 俺は柏手を打ち、ゆっくりと歩きだす。

 今日は探索や絶体絶命のピンチがあって、僕チンとっても疲れだ。甘い物を摂取して身体を労り、早く寝まふ。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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