14

文字数 531文字




揺れる水面に身を任せて空を見上げる
静かに流れる雲が青に溶けて行く
私の脈打つ鼓動に合わせて広がる波紋
貴方のその大きな背中に届いてますか
まぶたを閉じれば浮かぶ貴方は
いつものように優しくて愛らしい笑顔
周りの目を気にすることはないと
思ってはいるけど誰かの眼差しが時々痛い
でもその苦しさすらも
その大きな腕で包み込んでしまう
私の方が年上だなんて思うことがバカらしい
ただいつもそんなさざ波が波濤になり
心の中をかき乱していくの
思えば最後にした恋は仕事に負けて
どこかに消えていった
同期はみんな幸せと引き換えに
居場所をなくしていったから
わたしはいつのまにか負けられない
終わりの見えない何かと闘っていった
わたしを癒せるものが近くにあったから
羨む気持ちもやっかみも
赤い雫に溶かして飲み干して仕舞えば
涙とともに次の日には忘れられたから
でもあなたはそんなもの全て忘れさせてくれた
なのに不意に口をついて出てしまう
大人気ない言葉があなたを傷つけてしまう
求める心に素直になれずに
ただ好きでいれさえすればいいのに
ただ隣にいられさえすればいいのに
それ以上を望んでしまうのはどうすればいいの
そんな問いかけを心の奥で叫びながらも
今日もあなたのその大きな腕に抱きしめられ
わたしは溶かされていくいつものように



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み