第62話アイドルコンサート爆破③

文字数 1,190文字

清水亜里沙と麻友、夏子、茜がホテルから出ると、芳樹と君澤浩二が待っていた。
後楽園ドーム目指して、相当多くの消防車、救急車が走って行くので、実にけたたましい限りになっている。

君澤浩二は、ニヤッと笑った。
「時限式の爆弾、イスラムから手に入れた」
「設置は、ロシア人」
「もう、日本には関係者は誰もいない」

芳樹は、スマホを全員に見せた。
「アルジャジーラで、イスラムの何とかの勢力が犯行声明を出した」
「欧米親密化政策を取る日本を今後も破壊すると」

君澤浩二は低い声になった。
「若衆たち全員が、東京ドームに出張った後、風間平蔵に、神経性ガスを吸わせた」
「風呂の換気扇から流して、平蔵の目と鼻と喉を潰した」
「アフリカのテロ組織にしか、解毒薬がない」

清水亜里沙も笑った。
「まず、第一歩だね、生ける屍にする」
「それから、由紀は、クスリを注射して眠らせた」
「起きた時は、刑務所の中だよ」
「あるいは、クスリが強いから、廃人かも」
「これで、風間組の血統で残るのは、陽平だけ」

麻友が不安を口にした。
「深川に帰れるの?」
「若衆が気付かない?」

君澤浩二は、麻友の尻をポンポンと叩いた。
「確かに、いい尻だ」(麻友は赤くなった)
「若衆は全員ドームの中・・・すでに何人かは死んだ」
「それと、水道に毒、痺れ毒を仕込んだ」
「効き始めるのが、約3時間後」
「痺れて全身硬直して、死ぬか、生き残ってもマトモには生きられん」
「アマゾン原生林の虫から取った猛毒、解毒薬は俺しか作れない」

清水亜里沙は後楽園ドームを見た。
「ステージの下にも爆薬を仕込んだ」
「アイドルもほとんど死んだかな」
「全部で3万は死ぬはず」

夏子の顏が蒼くなった。
「バレること・・・ある?」
茜も不安を口にした。
「青森に帰るかな、怖い」

芳樹は、君澤浩二、清水亜里沙と顏を見合わせて笑った。
「俺たちは、段取りを取っただけ、しかも匿名でだ」
「犯行声明は、イスラムの何とかって原理主義の集団」
「日本も、日本政府も、泣き寝入りしかできない」
「マスコミも、遺憾であるとか、弱腰の政府を非難することしかできない」

清水亜里沙
「今後の若衆・・・つまり近衛兵は、清水一家が出すよ」
「ようやく乗っ取りの仕返し」
「親のカタキ討ちの第一歩だ」(清水亜里沙の目が潤んだ)

一行は黒ベンツのワンボックス車に乗り、深川の元料亭に戻った。
テレビをつけると、どの局も、炎に包まれる後楽園ドームを映している。
「イスラム原理主義勢力により、犯行声明が出されました」
「日本政府は、苦慮し、抗議するとの声明です」
「ただ、対抗措置は、発表されてはおりません」
「野党は、政府を一斉に批判しています」
「あまりにも欧米親密化政策を取った結果であるので、全責任は日本政府にあるとのことです」

コメンテーター(元アイドル)が発言した。
「悔しいです、バカな日本政府のために、後輩が殺されて」

テレビ画面を見る全員に、失笑が広がった。
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