第1話 聖女の名を騙った悪役令嬢?
文字数 806文字
「今日を持って、ナタリー・ド・リフレインとの婚約を破棄する。この偽聖女め」
なんだっけ、第一王子? 王太子候補のリッカル殿下は、大声で宣言した。
横に可憐そうな女性をくっ付けている。えっと男爵令嬢?
ただねぇ。婚約破棄は良いのだけれど、お祝いの夜会。
みんなが卒業を祝っている、王立学園の夜会会場で宣言することですかね。
ほら、卒業生も在校生も……卒業生の保護者達も呆然とこっちを見ている。
「はぁ。良いですよ。別に……」
一応、私は公爵令嬢なんですけどね。
一応……と付けたのは、幼女だから……あ、いや、養女だから。
せっかく森の奥で静かに暮らしていたのに、大昔の盟約とやらのせいでこんなところに連れて来られた。
聖女だと言う触れ込みで。
リッカル殿下の婚約者では無くなった私は、いつまでもこんなところに居ても仕方が無いと、踵 を返す。
「待て! リリカを今までさんざんイジメてきたその責任はどう取るつもりだ」
ああ、あの男爵令嬢はリリカって言うんだ。
「イジメ?」
はて?
「しただろう。教科書を隠したり、ドレスを破ったり……。私の寵愛を受けているリリカに嫉妬して、見苦しい」
何? その低レベルなイジメは……。
っていうか、私がいつ殿下を嫉妬できるほど愛した。
「そうですか。どちらにしろ私は盟約の通りこの地から消えますので、後はそちらでご自由に……」
妄言もここまでくると付き合っていられない。
「ご自由にでは、無いだろう。その態度だけでも、不敬だ。衛兵、こいつを捕まえろ」
通常勤務で、夜会会場の警備をしていた衛兵たちは、私を捕まえようとわらわらとやって来ている。
やれやれ、普通の人間に捕まえられるわけは無いでしょう?
誰か……多分、卒業生の男性が私を庇おうとやって来ていたけど、衛兵にかこまれたのを利用して、私は幻影のごとくその場からかき消えた。
豪奢なドレスと宝石、小物等、身に付けていた全てを残して……。
なんだっけ、第一王子? 王太子候補のリッカル殿下は、大声で宣言した。
横に可憐そうな女性をくっ付けている。えっと男爵令嬢?
ただねぇ。婚約破棄は良いのだけれど、お祝いの夜会。
みんなが卒業を祝っている、王立学園の夜会会場で宣言することですかね。
ほら、卒業生も在校生も……卒業生の保護者達も呆然とこっちを見ている。
「はぁ。良いですよ。別に……」
一応、私は公爵令嬢なんですけどね。
一応……と付けたのは、幼女だから……あ、いや、養女だから。
せっかく森の奥で静かに暮らしていたのに、大昔の盟約とやらのせいでこんなところに連れて来られた。
聖女だと言う触れ込みで。
リッカル殿下の婚約者では無くなった私は、いつまでもこんなところに居ても仕方が無いと、
「待て! リリカを今までさんざんイジメてきたその責任はどう取るつもりだ」
ああ、あの男爵令嬢はリリカって言うんだ。
「イジメ?」
はて?
「しただろう。教科書を隠したり、ドレスを破ったり……。私の寵愛を受けているリリカに嫉妬して、見苦しい」
何? その低レベルなイジメは……。
っていうか、私がいつ殿下を嫉妬できるほど愛した。
「そうですか。どちらにしろ私は盟約の通りこの地から消えますので、後はそちらでご自由に……」
妄言もここまでくると付き合っていられない。
「ご自由にでは、無いだろう。その態度だけでも、不敬だ。衛兵、こいつを捕まえろ」
通常勤務で、夜会会場の警備をしていた衛兵たちは、私を捕まえようとわらわらとやって来ている。
やれやれ、普通の人間に捕まえられるわけは無いでしょう?
誰か……多分、卒業生の男性が私を庇おうとやって来ていたけど、衛兵にかこまれたのを利用して、私は幻影のごとくその場からかき消えた。
豪奢なドレスと宝石、小物等、身に付けていた全てを残して……。