――果たして、その動機はあり得るのか?
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死体をバラバラにするのは重労働である。
それでも、やり遂げた後は普通に逃げる。疲労困憊であろうとも、犯行現場から離れるまでは眠ることなどできやしない。
だが、サイコパスは違う。
そこで疲れて眠るのは当然だと、言い切れてしまう。
殺害されたのは水島泉。宿泊客の中で一人だけ姿が見えないので間違いないだろう。
そして、容疑者は四人。
しかし、その理由にアリバイや動機の有無はまったく関係なかった。
そういった事情から、4人はペンションの一室に軟禁されていた。
天候が回復し、警察が来るまでの間、更なる悲劇を防ぐ名目で。
沈黙。
ゆえに、全員が同じ目的でここに来たことが察せられた。
このペンションは恋人が欲しい男女が集う、有名な出会いの場であった。
案の上、全員が自室で寝ていたと答えた。
ここで疑惑の目が一人に集まる。
そう言って、岩切智子が学生証を取り出した。
他の3人も続き――身分に関しての虚偽はなかったことが判明した。
無駄の多い衝動的な殺人。
犯人はプライドが高く、頭は悪い?
バラバラにした理由。死因を誤魔化す? 所持品を駄目にする? 行為自体に興奮を感じた?
性行為に問題? 笑われた、馬鹿にされた?
いち抜けた、と言わんばかりに女性陣は言い連ねる。
そして、警戒するように男性陣から距離を取ろうとした瞬間――
北野光世が地主浩二にあて身を食らわせた。