ロマンスの神様、この人?!

文字数 2,775文字


ロマンスの神様、この人?!


1.
異世界生活三日目。

今日は、街を案内してくれるらしい。
やっぱり、異世界だな~という感想がでてきてしまう、街並み。
レンガ造りの建物が多くて、見たことのない文字の看板があったり。

で、三人で連れ立って歩いていると、チラチラこちらを見てくる人が多い・・・
のは、はっきり言って。
「あのさ、二人とも、なんで俺と腕組んでくるの?!」
「え?」
「え?」
何か?という顔で見上げられても困るんですけど!
いくら献身者で神に捧げた身!としても俺も健全な青少年なワケだしさ!
右の、シュガーさんが、ぎゅっ、腕に絡めた手を強くして、さらに距離が近く!
「じゅん様は、私の大事な方ですもの!」
「え?俺がいつの間に??!」
「お姉ちゃんは来た人に恋焦がれていたから。
それに、これは来た人と出かける時のマナーというか。」
「最っ上級の、ええと、そちらの世界の言葉で、お・て・も・な・し、ですっ!」
にっこりと言う、その笑顔がまぶしいけど、それ、多分、

「はぁ~~~、それを言うならお・も・て・な・し。でしょうが。
ホント、これだからおちこぼれは~。」
いきなり道の角から現れたのはすっごくカワイイ、少女でした。
作り物ののネコ耳とシッポを着けた、メイド服の。
・・・ええ?

「ぺっ、ペッパァ!いきなり何の用ですか!」
「アンタがとうとう、来た人を捕まえたって聞いて、見にきたのよ。
どうせ、アンタのことだからきちんとしたお世話もできてないんじゃないの~」
「おっ、大きなお世話ですっ!私だって、一人前にお世話できますっ!」
「へぇ~どんなお・て・も・な・し、なのか是非、見せてもらわないとね~!」
ぎゃんぎゃん、とにぎやかに話す二人に圧倒され、ソルトさんにこそっと聞いた。。
「あの二人、知り合いなの?」
「そう。あのネコ耳さんはペッパァさん。お姉ちゃんと同い年。
昔はもうちょっと、仲良しだったけど。」
ああ。なるほど。
シュガーさんと会って三日、彼女はずっと嬉しそうな顔をしてたけど、
あんなにいきいきとした表情は初めて見た。
「・・・というか、あんな風に喧嘩するんだなぁ、シュガーさん・・・」
「お姉ちゃん、かなりコンプレックスもってるから。特に、ペッパァさんに。」

「な~によ、昔はビービ―泣いて、私のスカートにしがみついてたアンタが、
いっちょまえな口をきくわね~」
「むっ、昔のことをいちいち持ち出さないでくださいっ!」
「あのころはアンタも素直でかわいかったのにね~!」
「おっ、大きなお世話ですっ!それに、ペッパァだって、昔はもっと優しかったのに!」
「それは~アンタが随分な巫女学校のおちこぼれな、おバカさんだからいろいろ教えてあげているんじゃない~!」
「そ、そうやっていつもばかにしますけど!
私にはとうとう、来た人が与えられましたから!」

そう言って、シュガーさんは俺に、正しくは俺の胸に、飛び込んできた。
きゃー。
慌てて体を離したけど、ペッパァさんのこちらを見る目がきつくなった様な。

「ちょ、シュガーさん、スキンシップ過剰すぎるから!」
良い子の読者が驚いちゃうでしょ!
「どうしてですっ!さっきも言った通り、じゅん様は私の大事な方ですのにっ!」
言い合いで興奮しているのか怖い・・・
そして、向こうのペッパァさんの視線とクールなソルトさんの視線も・・・!


2.

「へぇ~、この人がアンタの来た人ねぇ~」
じろじろと眺めてくる・・・。
「パッとしないわね~、来た人のレベルによって、巫女のレベルも決まるのにイマイチ普通なカンジじゃないの~!」
「大丈夫。昨日お父様も太鼓判を押してたから。」
「そうですっ!昨日のじゅん様の『ワイルドだろぅ~』の仕草に父は感動してましたっ!」
「あ、あれはもう忘れて・・・」
「シナモン様が・・・?!しかも、あの儀式ができるなんて、なかなかやるわね・・・」
「そういう判断でいいの?!」


腑に落ちないけど、ペッパァさんの評価はあがった・・・のか?
「けどね~、問題はこの人のレベルが肝心じゃないの、それで、アンタたちどんなことを授けてもらったワケ?」
え。
「それはまだ・・・。けど、じゅん様なら、きっと素晴らしいことをー!」
「まって、その『授ける』って?」
「やれやれ、ホントにおちこぼれには困ったものね~、必要なこと、何にも伝えてないなんて、アナタも他の巫女のところに移った方がいいんじゃないの?」
「そっ、そういうのはこれからなんです!じゅん様、私をおいて、ほかのところなんていかないですよね・・・?」
今度はうるうると瞳をにじませながら、シュガーさんはしがみついてきたけど。
「その、授けるってなんのこと?」
俺は何もできませんが。
「いろいろ、異世界の技術とか知恵を教えてくれること。この世界は来た人の教えで発展してきたから。」
へー、そうなのか。
しかし、俺はただの18歳で、一介の神学生なだけだから、特に技術なんかないぞ!
国語算数理科社会全てオール3の男だからな!
まてよ、教える、についてなら、・・・あった!
俺は、いずれ宣教師になる男だから!
これは!チャンスなのではないか??!

と、俺の心の中が宣教の情熱というか、こういう機会を与えてくれた神への感謝にあふれていた時に、その人はあらわれた。

「も~、探したよペッパァたん!僕のことおいてくなんて、うっかりな子猫ちゃん!」
「ただし様~!いや~ん、おいてったんじゃなくてぇ、ちょっと早く歩いちゃっただけですぅ~。ゆるして・にゃん!」
「ひぇ・・・」

いきなり、ペッパァさんはカワイイ声をだして、仕草までかわいくなった・・・。
・・・あまりの豹変ぶりにビビってしまった・・・。

「それにぃ、ほらぁ、見てくださいよぅ、シュガーにもとうとう来た人が現われたみたいなんですぅ、こちらの方!」
「ふ~ん、普通の方のようですな。一般の方?」
「そうそう普通ってか、インパクトに欠けますよねぇ~!」
「インパクト・・・」

確かに、その現れた男は、インパクトが強かった。
ひょろりとした体系にチェックのシャツイン。大きいリュックに細い紙の筒が見えていて。
手首に黒のリストバンド。そして額にバンダナ。

ど、どっかで見たことあるー!
アキバとかアニ○イトとかー!
最近のそういう方々すごくおしゃれになっていて、こういうコテコテファッションの方見ないと思ったら、ここにいたのか!

「歴代の来た人の中でも最強レベルの、ただし様です・・・。」
「すごいレベル。賢者でもあり、魔道師であり、踊り子までこなす・・・」
「「「遊び人。」」」
「それ、遠巻きにデスってない?!」
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