リデビュー小説賞 座談会 #1
文字数 7,342文字
パネリスト皆さんが揃ったというご連絡がありましたので、さっそく『講談社NOVEL DAYSリデビュー小説賞 座談会』を開催します。
本座談会は今から25日16時までを予定しています。
どうぞよろしくお願いします。
まずは自己紹介からいきましょうか。
ぼくも軽く自己紹介しますね。
こんにちは、至道流星です。
小説家などをしています。
NOVEL DAYSでも小説投稿をしていまして、以下の作品などは、全文を無料で読んでいただくことができます。ご参考までにどうぞ。
ぼくは講談社文芸第三の出身作家ですから、講談社タイガは故郷のようなもの。また講談社ラノベからも出させて頂いていまして、両レーベルともにいろいろな縁があります。
今回はその編集長のお二人とご一緒に座談会を行う機会が持てて光栄です。
皆さま、どうぞよろしくお願いします!
座談会ということで、よろしくお願いいたします。
簡単な自己紹介ということで、ラノベ文庫の前は、20年ほど漫画部署におりました。
その後2010年にラノベを始めるということになってこちらにやって来ました。
ちなみに書き込みのタイミングが合致するわけでもないので話題は前後しますし、そんなに頑張って一つ一つレスしてもらう必要はありません。
自己紹介をする今はともかく、以降は1日に1~2回くらいログインしてもらい、必要なものだけにお答えするというイメージで大丈夫です。PCに張り付く必要なんて全然ありません。
気楽にどうぞ。頑張らなくていいのは、長く続くオンライン座談会の良さですね。
経緯……経緯…そうですね、小説が売れないと言われて久しいですよね。(当たり前の話ではありますが)小説って、今も昔も変わらず面白いと思っているんですよ。
>小説が売れないと言われて久しい
これにはたくさんの要因があると思うのですが、編集長さんの立場から見て、なぜ小説が売れなくなっているとお考えですか。小説に限らず、マンガもビジネス書も実用書もすべての出版物が例外ではないですけどね。
一言じゃ説明できないと思うのですが、多くのユーザーさんの興味のあるところだと思いますので、可能な範囲で教えてもらってもいいでしょうか。
ネーミングの際、「Re:デビュー小説賞では?」といったら、「それじゃリ○ロじゃん!」と突っ込まれて……あくまで余談で申し訳ございません。
これは、もう、出版社だし、担当編集者の責任でしかないと思います。
小説家のデビュー作って、今の出版市場の中でも、すごく注目を集めやすいですよね。
猪熊さんが「思い」を書かれてましたが、本当の才能って何度デビューしてもいいし、一度デビューされたあとにでも、作家さんの才能が正当な評価を受ける機会が増えてもいいんじゃないか、というのが強いですね。
そうですね…やはり時間の奪い合い、と言う意味では、小説もマンガも、スマホもネットもすべて同じ土俵の上にあります。小説は、その中では特に、敷居が高いと思われやすいことがありますよね。もちろん、活字中毒・物語中毒のような、小説好きもいてくれますが。
>時間の奪い合い
これはつくづく感じます。
コンテンツ量が増えすぎて、これだけのコンテンツ、絶対誰にも消費できませんよね。
作り手側が増えすぎているのは確かです。
小説家も増えすぎているし、漫画家も増えすぎています。とくに小説より漫画のほうが多技能が必要でクリエイターとしての全般的な高い能力を要するはずなのに、その高度な職人であるはずの漫画家さんがこんなに増えていることに心底驚くばかりです。
ネットで小説を読む文化は随分育ってきていますし、通常の小説賞のように応募原稿をクローズドで募集するのではなく、読者の方々も巻きこんで、オープンな場で小説を楽しむことを再発見して欲しい。
……もちろん、この賞自体にも、公開で募集することにも、賛否両論があるのは覚悟していますが。
第二巻の冒頭試し読みもこちらに掲載していますが、小説についてめちゃくちゃ考えさせられる物語ですよね…(一章だけでもめちゃくちゃ素敵な話ですので是非読んで欲しい!)
コンテンツ量が増えすぎているだけでなく、コンテンツがスマホで無料で手に入れられることも当たり前ですが大きいですね。
ソシャゲとかも今は開発に億単位かかるのに、これが無料で大量に出ている。もちろん昔からのテレビやラジオや雑誌もあるし、昔より海外製のコンテンツに触れる機会もあります。
クリエイターは、過去の常識をすっかり捨て去って、根本の思想を変えなくてはならない状況なのだと感じています。
『小説の神様』がそんな気持ちを心の裏側から透かしてくれたんだな、と思っています。
まさに…そんな気持ちです。
思った以上に、多くの作家さんから、よくこの賞を作ってくれた、と応援してくれてありがたかったです。もちろん、この賞が発表されて、その物語が多くの読者に読まれてはじめて、作ってよかった、と言えると思います。そういう意味では、本当に責任重大で……今でも震えますけれども……。
小説が売れないということとも関係するのですが、編集者個人の問題ではないレベルになってきているのかなという気がしています。(同様に、クリエイター個人だけの問題でもなさそうです)
業界全体、出版社全体の問題な部分が大きいので、編集さん個人にはどうしようもない側面は間違いなくあると思います。
業界全体から個別の版元の話になっちゃいますけど、
いろいろ仕事させてもらった経験上、小説大手では、なんだかんだ言って講談社が一番いいですよ本当に。別にお世辞を言うつもりも、不用意に持ち上げるつもりも毛頭ないんですけどね。
どの版元さんも数字だけになってきていると思うんですけど、数字だけで判断しない部分が残っているだけでも価値があります。営業側・経営側が強いのか、それとも編集側にまだ矜持があるのかの違いでしょうか。
もちろんこうした時代ですから、営業側・経営側の判断部分がどんどん大きくなってくるのは講談社とて例外ではないでしょうけれども、良くも悪くも(クリエイターにとっては良い意味で)その転換が遅く感じるということです。
そう考えてくれているだけでも、作家側にとってはありがたいことです。
ただ、この「NOVEL DAYS」や、リデビュー小説賞を開催することは、講談社としては新しいチャレンジですし、変わること、挑戦することを、良しとしてくれるのはありがたいですね。
(自社を褒めてどうする、と思いつつ 笑)
電子書籍にこれだけフェアがあるならば、リアル書店・紙の書籍でも、こういう試みで、新しい読者が増えてくれるといいな、と。
まさに、こうした時代にあっては、間違いなく小説は最も不利なコンテンツという認識を強く持つ必要ありますね。
マンガも苦戦しているといえども、マンガはSNSと親和性が高いので、戦える方法はあるんですよね。実用書やビジネス書は明快に解決策を告知できるので(かなり嘘八百や誇張が入ってる場合多いですが)、まだ仕掛けようがあると思います。
いったい小説はどうすればいいのかと。
あと2作品、新潮文庫nexさんというライバルレーベルとコラボをしていて、大人気の知念実希人さんの「天久鷹央」シリーズの一冊と、青崎有吾さんの『アンデッドガール・マーダーファルス』をフェアに入れてみたり。新潮文庫nexと講談社タイガが同じフェアに入っているとか、それだけで「え!?なんで!?」とワクワクしてくれないかな、と(笑)
>小説サイドは劣勢にある
「リデビュー小説賞」がなぜ投稿サイトによる応募なのかというとですね……少しとびますが漫画というのは漫画家さんと読者のみなさんが、縦方向の関係にある、それは絵を描くという、「ギフト」の領域にある才能の創造物であるから、どうしても才能というか、発信元の母数が限られるのだと思います。小説についていうと、これは、「円錐を横に輪切りにした同心円状のなかに、バラバラの粒子が存在していて、それぞれの粒子が送り手であったり、受け手であったりするもの」というイメージです。
輪切りにした部分が、各ジャンルの「読者と作者」が混在している部分です。その円形の部分が増大してくれば、読者も作者も増えたジャンル、ということになると思います。
至道さんの仰るこれは、本当に重く受け止めねば…。考えること、挑戦することは、まだまだあると思うんですよね。「リデビュー小説賞」も、新しいチャレンジですよね。作家さんにご負担をかけてはならないですが……。
うまくまとまっていない感じなのですが、この同心円では作者も読者も極めて平等にあるのです。その平等を実現する方法が「投稿サイト」なんだろうと思っています……この「読者と作者がほぼ等しい関係を作れている、今日の読者が明日の作者」という関係性が一番成り立つのが投稿サイト「小説家になろう」なのかなあと。
書き手>読み手
問題的な、読み手の数に比べて、書き手の数が増えすぎていることについては、どう思われますか?
チャットノベルは、一つの解決策になるのではないかと思案しているところです。
漫画家さんのような高い技能がなくても近いコンテンツが生産できますし、読み手にとってもスマホでの視認性がとても高いんですよね。
書き手の自己満足を重視するよりも、読み手の読みやすさを重視したコンテンツ作りが今ほど必要とされているタイミングはないのではないでしょうか。
一時期、一般文芸が苦戦しているなかで、ラノベが頭角を現してきたような現象が、アイコン付き小説という分野を確立してくれる可能性は今後ありそうかなと思います。小説本に、アイコンがあっていいと思うんですよ。ぼくとしてはビジネス書にだってアイコン付きが進出していいと考えています。
問題は編集作業が既存のものと変わるということだけで、読み手にとっては特に悪いことはないとも思います。
とはいえ、チャットノベルとかコラボノベルとかいうのは小説業界全体の苦戦にとっては枝葉レベルのことではあるかもしれませんが、目先の手としてはあり得ると思っています。
これはもう、書き手の数をどんどん増やしていく→書くためのハードルを下げ、利便性をあげる→書き手が増え、勝ち残るために他の作品をどんどん読んでいく→結果、ヘビーユーザーになる、という流れがあったらなあ、とは思います。書き手と読み手は極めて近いのだと思っております。
そろそろ開始から1時間半くらいになりましたし、簡単な自己紹介タイムも終えましたので、以降はPCから離れて頂いてOKです。
これ以降は、編集長お二人には、お時間のあるときにログインしていただき、まとめてレスする程度で全然OKです。深く考えず気軽にやってください。
リデビュー賞への参加資格がある商業作家の方々も、お気軽に座談会に参加してみてください。
とくに議論に制限はありませんので、色々な業界の話題に触れてみてください。
さまざまな座談会を開催してきて、各座談会ごとに制限がありましたが、本座談会の参加者は商業作家の方のみとなっています。どうかご了承ください。
ではぼくも席を離れさせていただきまして、意識を切り替えて仕事に戻らせていただきますね。
ぼくも開催期間中は1日に数度入るようにします。
こんな感じで座談会はだらだら続きますので、皆さまどうぞよろしくお願いたします。
ご質問等ございましたら、書き込んでいただければ、時間を見つけてご返信をさせていただきます。