第44話 買物のお供

文字数 857文字

 土曜日の午後。ショッピングモールに行きました。カレンダーの休日には、滅多に外出しない私。理由は平日に行ける時間が増えたからです。

 土曜日というだけで、少し気を引き締める。休日のショッピングモールは混むものなので。コロナ禍だから緊急事態宣言だからと言われていても、皆さんお構いなしで買物をしている。私も同様にマスクを付けて入店。やはり混雑。間隔の浅い行列は予想通りの光景。買う物買って、さっさと帰ろう。

 コロナ禍になって、私の支払い方法が急速に変わった。現金主義だった私が、今ではスマホと数枚のカードを使いこなす。カードといってもクレジットカードの出番はあまりない。ほとんどが、チャージして使うタイプ。レジでも慌てることなくスマートにお支払い。慣れれば、本当に楽、そしてポイントも付くから嬉しい。友人たちは、現金チャージやカードを変えて使うのが面倒だのと、羨望ではなく半ば呆れ顔で私を見る。そうかな?「私たち、まだ数十年は生きるんだよ。今のうちに覚えないと……」と、アラ還の老婆心。

 去年の夏。先輩の葬儀に出席したあと、昼食を摂るため数人でレストランに入った。同じ時代を過ごした者同士、昔話に花が咲く。お会計は各自で支払うことになり、行列。10名ほどいたが、私ともう1人以外は現金払い。その中には金融機関に勤める者もいれば、都内に住んでいる者もいた。私は、なんだか悲しかった。かつては時代の先端を競って好むような者たちだと思っていたのに…… 歳ををとったんだね、私たち。

 今は得意げに使っている私だが、もちろん失敗もある。ある日、初めての道をウォーキングしていた。途中に産地直送の市場があり、寄り道。珍しい野菜など数点カゴに入れた。そのときに持っていたのは数百円の小銭とスマホ。当然スマホ決済のつもりでレジへ。現金のみと言われ、恥ずかしながら、数点を戻した。そして近所じゃなくて良かったと、恥もかき捨てた。

 行列を緩和させるためにも、キャッシュレスはいいなと思う反面、レジの人の操作時間が気になる今日このごろです。




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