愛の逃避行

文字数 1,045文字

結局、仕事は予定より一時間遅くに終わった。

片桐くんも仕事が終わり、一緒に退社することにした。

私は、駅前のカフェで待っていると車に乗った片桐くんが現れ、私はカフェを後にし、片桐くんの車に乗り込んだ。

何か悪いことをしている気分だ。

空は、晴れたり曇ったりを繰り返しており、私の気の高揚と不安を表しているかのようだった。

片桐くんの運転する車は、徐々に町を離れていく。

どこが目的地なのだろうか……。

楽しみと不安が出てくるこんな複雑な気持ち……初めてかもしれない。

心臓はドキドキと脈打ち、気持ちが悪くなってくる。

車酔いはしないのになぁ……。

大丈夫ですか?

佐野さん、ちょっと体調悪そうなので寄り道しましょうか。

ごめん……ちょっと車酔いしたかも……。

大丈夫だよ、すぐに良くなるから……。

ダメですよ。

無理しないで。

まだ今日が終わるまで時間はあるから大丈夫です。

逃避行にハプニングは、つきものなんですよ?

片桐くんはどこを目指しているの?
内緒です。
ねぇ、この道なんだけど……恋人岬……目指してる?

私、この道に覚えがあるの。

バレてたんですね。

さすがですね、佐野さん。

どうしてここを知ってるのですか?

私、昔付き合ってた彼氏と行ったの。

でも、前の彼氏の浮気で別れちゃったの。

まあ、もう気にしてないから大丈夫だよ。

そんな彼氏に佐野さんを取られてたなんてちょっと腹立つな、俺。
えっ、もしかして嫉妬してる?
そんな事ないです。

そろそろ体調回復してきましたか?

もう大丈夫よ。
じゃあ、出発しますね。
片桐くんは、車のアクセルを踏むと車は、前に進み始める。

そして、とある駐車場に車を停める。

回りは暗く、何もない開けた場所にやって来たのであった。

暗くて足元に何が潜んでいるのか分からない。

私は、片桐くんに手を繋がれて、丘を登っていく。

段々と天に近いところまで近づいてきているような気がした。

頂上付近には、大勢のカップルや親子連れが集まっていた。

近くには、天体望遠鏡が組み立てられ、おいてあった。

そうここは、私にとっては一回目の黒歴史を生み出した場所……。

でも、次の思い出は良いものに変えてやる……、と私は思うのであった。

空は気がつくと晴れ渡り、夜空には満点の星空が広がっていたのである。

天の川まで見えている。

これは、逃避行したかいがあったのかもしれない。

私が夜空を眺めていると、隣に座っていた片桐くんに声をかけられたのであった。

この夜空の下、七月七日にここで告白したカップルは、永遠に幸せになれる……、この噂は本当になるのだろうか……。
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登場人物紹介

佐野 瑞樹

大手商社に務める会社員の女性。
笑顔が可愛く、会社の中でも色々な男性が狙っている女性。
経理課所属で同じ所属の片桐 彰文に片想いをしている。

片桐彰文

主人公と同じ会社に務める大卒で入社してきた新人社員。
女子から人気があり、モテる。
七夕の日、とある作戦を決行する。

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