第8話 孤独な図書委員

文字数 2,103文字

2年生になって2日目。


今日は委員を決めるらしい…

朝、冬月さんが一人暮らしをしていることはみんなにバレたくないとのことなので、冬月さんは早起きしてきて、俺の玄関個前で一緒に愛が来るのを待っている。
愛にはラインで、今日から冬月さんも近所に住んでるらしいから、朝まだ道わかんないらしいから、一緒に行ってあげようと言った。


ラインでは愛は全然いいよ〜っていうような感じだった。


でも、多分、愛は人見知りするタイプ…


冬月さんはあの通り無愛想なタイプ…


一緒に登校するのに二人は会話できるのだろうか…


少し心配しながら愛を待つ。

あいつ遅くね?
まだ、全然余裕な時間なんだから、そんな待とうよ?もしかして冬月さんは待つとイライラするタイプ?
一人暮らししてるのみんなに知られたくないから早く来た私が悪いのはわかってんだけどさ、待つの嫌い。めんどい。
じゃあ、外にいるのも何だし家に入る?


家の親どっちも朝仕事はやいから、いないから、リビングでテレビでも見て待つ?

家に連れ込もうとしてんの?男の家は危険だから、一人じゃ入りたくねーよ。
(友達第一号じゃなかったのかよ…外で待つのめんどいとか言ったの自分だろ…)
そうだね。冬月さんは可愛いから気をつけた方がいいのはわかるけど、俺友達第一号じゃないの?(笑)


俺みたいなヘタレな人間は冬月さん襲う度胸もないし、まず、もうすぐ愛が家に来るのにそんなことすると思う?

冬月さんはしばらく考えると
じゃあ、お邪魔すっから。
まぁ何にもない家だけど、愛待ってる間くつろいでて。
玄関の鍵を開けると冬月さんを案内する。


冬月さんはリビングのソファにドサって座って、テレビをつけると、朝の番組を見ている。

俺は冬月さんに冷たい麦茶を出した。
冬月さんはなかなか麦茶を飲まないので、もしかして冷たいの嫌だったのかと思って聞いた。
ごめん。もしかして冷たいの嫌だった?麦茶嫌いだった?
別に嫌いじゃない。私が飲んだグラス欲しがるやつがいるから、人の家であんまり飲み物飲まねー。
(そういうことか…ここに来る前色々大変な思いしてきたんだろうな…)
東京だと白石 千春ってバレてて大変だっただろうけど、安心して。ここは東京じゃないし、似てるって言われるかもしれないけど、みんな冬月 千春だって思ってるから。


俺には本当のこと言ってくれたから警戒してるのかもしれないけど、そんなことしないから安心して。俺友達第一号でしょ?(笑)

俺がそういうと冬月さんは麦茶を手にとって飲み始めた。
その、昔の記憶は無いんだろうけどさ、去年の記憶はあるわけだよね?


今日委員会決めるって言ってたんだけどさ、去年の高1の東京にいた記憶はあるよね?あっちでは委員会は何してたの?

図書委員。龍一は?
じゃあ図書委員やるの?俺は美化委員ってのを去年はやったよ。ゴミ拾ったり、雑草抜いたりばっかだったけど…

ゴミ捨てんのはいいけど、拾うのはめんどい。


去年、東京の高校では図書委員は人とあんま関わらなくていいからやってた。図書室が私の居場所…色々仕事押し付けられたけど、一人でも楽しかった。


だから、図書委員またやりてーよ。

(ゴミ捨てたら、だめだよ…え?仕事押し付けられてたの?(汗))
喋っていたら、インターフォンが鳴ったので出ると愛だった。


今行くからと言って、冬月さんと玄関を出ると、愛が少しオドオドしている…

おはよう。どうしたんだよオドオドして(笑)
え、だって…二人で家から出てきたから…


なんか、変な感じがして…

何もされてねーよ。ただ委員会どうすんのか話てただけ。
3人でとりあえず歩き出す。


ちょっとギクシャク感が出てて、居づらい…

冬月さんは、その、近所に住んでるんだよね?委員会はどうするの?
図書委員。また同じ話すんのめんどい。説明は龍一からで。


あんたは何委員にすんの?

(あんたって…普通に名字で坂木さんとか愛さんとか呼び捨てとか色々呼び方あるだろ…あんたはないよな…)
あんたって言われた愛も案の定戸惑っている…
わ、私は今年は龍一君と同じ美化委員になりたいな(笑)


今年も龍一君は美化委員かな?

(え?マジで?!愛と同じ委員会…)
え?うんまぁ。今年も美化委員かな、なんて思ってた(笑)
その後も他愛もない話をして学校に着くと、ホームルームで、美化委員に俺と愛は無事になれた。


図書委員も冬月さんに無事に決まった。男子の図書委員は笹川…


あれ以来、笹川達は特に何も冬月さんにはしてこないみたいだけど、何も起こらなければいいなと思ったけど起きてしまった…

1週間後最初の委員会があった。俺と愛は美化委員で、学校の周りのゴミ拾いをしていると、ダンボールを一人で重そうに抱えて廊下を歩いている冬月さんの姿が見えた…
(笹川も図書委員だよな…?)
しばらくその光景をゴミを拾いながら見ていると、その日のは冬月さんが一人で往復しているようだった。
次の週も冬月さんは一人で本を整理整頓しているみたいだった。
俺と愛は今日は委員会はない。
愛は美術部でもあるため部活で冬月さんは委員会。


帰宅部の俺はどうせ帰りは一人…


何故か図書室に用もないのに向かっている自分がいた…

※冬月 千春 高校2年生


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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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