第7話

文字数 2,561文字

大介の家の寝室で勇気の連絡を何時間も待ち続け空も暗闇になりようやく勇気から連絡が来た。

「水晶さん、剛さんの治療が終わりました」

「わかった、すぐいく」

水晶が会話を切り立ち上がると晶も立ち上がりベッドに近づき口を開いた。

「大介さんを起こします」

そう言って大介を目覚めさせようとしたその時、水晶が口を開いた。

「やめろ」

「目覚めさせなくて良いんですか?」

「このまま眠ってた方が良い」

「1人にして良いんですか?」

「結界を張れば大丈夫だ」

「わかりました」

「行くぞ」

「はい」

返事をすると晶と水晶はその場から消え森林に向かった。

ー森林ー

勇気の治療を受け元気になった剛は立ち上がり勇気と話をしていた。

そこへ水晶と晶が現れた。

「剛さん」

「水晶、黒金という男が大介を狙っている」

「何ですって」

「ヤツが言ったんだ大介をくださいって」

「くださいって大介さんは物じゃない」

「そう言ったら黒金にやられた」

「もう大丈夫なんですか?」

「勇気のお陰で助かった…水晶…」

「はい」

「大介は?」

「大介さんはベッドで眠ってます」

「眠ってるって何かあったのか」

剛の問いに晶が口を開いた。

「俺が眠らせました」

「君は?」

「水晶さんの分身、晶といいます」

「晶、君に頼みがある」

「何でしょうか?」

「俺の代わりに大介を守ってほしい」

「……」

晶が目を向けると水晶が口を開いた。

「家ごと結界を張ってるから安心しろ」

「本当に大丈夫なのか?」

「俺の結界は俺しか解くことができない、他のヤツは解けない」

水晶が言い放ったその頃、大介の家の前に黒金が立っていた。

「俺に結界は通用しない」

そう言って黒水晶のブレスレットに触れると黒金は家の結界を解き中に入っていった。

その後、黒金は大介が居る寝室に向かい中に入るとベッドに近づいた。

「大介さん」

「……」

「眠らされてるのか…ちょうど良いや」

そう言って黒金は家ごと黒い結界を張りその後、黒水晶の杖を出現させると掴んだ。

「眠ってるならちょうど良いや、大介さん、君の力を頂くよ」

そう言って黒金は黒水晶の杖を大介に向け力を奪い始めた。

その時、森林の剛が感じ取った。

「大介の力が奪われてる」

「え…」

「大介の力が…」

口にしながら剛がうつ伏せで倒れると剛の身体の中から水晶玉が現れ消えていった。

「水晶玉が」

驚いた顔で勇気と晶が見つめると水晶が口を開いた。

「勇気、晶、剛さんを頼む」

そう言って険しい顔をしながら水晶はその場から消え大介の家に向かい姿を現すと家を見つめた。

「俺の結界が解かれてる」

「やめてー」

「大介さん!」

大介の叫び声を聞き水晶は透明な矢で結界を破ると水晶は中に入り寝室に向かった。

そして水晶は黒水晶の杖で大介の力を奪っている黒金の姿を目撃した。

「大介さんから離れろ」

「うああー」

「邪魔だよ、消えな」

叫ぶ大介の身体から黒水晶の杖で力を奪いながら黒金が口にすると水晶は怒り透明な弓矢を構え矢を放つと黒水晶の杖を吹き飛ばした。

「……」

無言で黒金が見つめると水晶が口を開いた。

「大介さんから離れろ」

透明な弓矢を構えながら水晶が口にすると黒金が口を開いた。

「俺を怒らせない方が良いよ」

「怒らせたらどうなるんだ」

そう言って水晶が透明な矢を放つと黒金は透明な矢を掴み口を開いた。

「こうなるんだよ」

そう言って透明な矢に毒を染み込ませると黒金はその矢を水晶に向かって放った。

矢は水晶の身体に突き刺さりそのまま身体の中に入り込んだ。

その後、水晶は「うああー」と叫びながら倒れた。

「剛のあとを追ってあの世に逝きな」

そう言って黒金は大介をお姫様抱っこしそのまま姿を消していった。

「大介さん…はぁ…はぁ…」

毒に苦しみながら水晶は立ち上がり人間から水晶玉に変身すると森林に向かった。

ー森林ー

うつ伏せで倒れている剛を勇気と晶が心配そうな顔で見つめていると水晶玉が現れた。

その後、水晶玉は人間の姿に変身しうつ伏せで倒れた。

「水晶さん!」

そう言って立ち上がると晶は水晶に近づき身体を抱き起こした。

「何があったんですか?」

見つめながら晶が問いかけると水晶が口を開いた。

「大介さんが…黒金に連れ去られた…」

「大介さんが」

「人間の俺は毒にやられているが水晶玉の俺は毒にやられていない、晶、水晶玉の俺を剛の中に頼む…」

「わかりました」

晶が返事をすると水晶は晶の腕の中で人間から水晶玉に変身した。

晶は水晶玉を持って剛に近づくと水晶玉を身体の中に送り込んだ。

それから暫くして剛は目を覚まし立ち上がった。

「水晶、ありがとう」

「剛さん、大介さんが黒金に連れ去られたそうです」

「大介は俺が助ける、勇気は戻れ」

「俺もいく」

「お前が居なくなったら学が悲しむ」

「俺には悲しむ人が居ません、だから俺は一緒にいきます」

「わかった、俺の肩に掴まれた」

「はい」

晶が肩に触れ剛が魔法の杖でその場から消えると勇気は無言で立ち尽くした。

ー海が見える別荘ー

黒金に誘拐され別荘の地下に運ばれた大介は壁に立たされ左右の手首と足首を鎖で繋がれていた。

それから暫くして大介は目を覚まし前方に目を向けると水晶玉と黒水晶を持って立っている黒金を見た。

「……」

「この水晶玉、誰の水晶玉か大介さんならわかるよね」

「剛さんの…」

「正解」

「剛さんの命を奪ったんですか?」

「悲しいよね」

「……」

「悲しい気持ちすぐに無くなる」

そう言って黒金が水晶玉と黒水晶を合体させると大介は驚いた顔で見つめた。

「……」

「これでOK」

そう言って黒金は大介に近づき合体した水晶と黒水晶玉を見せ口を開いた。

「水晶と黒水晶玉を君の身体の中に送り込む」

「……」

「君は俺のものになる」

「……」

「俺の願いも叶う」

「願い?」

「俺の願いは永遠の命」

「そんな願いのために剛さんは…」

大介の目から涙が流れると黒金は大介の唇を奪いながら水晶と黒水晶玉を身体の中に送り込んだ。

その後、黒金が唇を離し少し距離をとると大介の左右の目の色が透明と黒に変わった。

「…成功だ…」

「……」

無言で左右の手首と足首の鎖を魔法で外すと大介は喜ぶ黒金に近づいた。

「黒金の願いは何だ?」

「俺の願いはいつでも叶う」

そう言って大介を抱き寄せると黒金は唇を重ねた。

その頃、剛と晶は魔法の杖を使って黒金と大介の居場所を探していた。
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