第30話
文字数 1,593文字
「窓の外、一羽の、カモメが飛んでいた」
大阪政道会若頭補佐『占部貞光』は、セブ島のホテルの一室で四人の男に囲まれている四人が四人とも上下黒のスーツにサングラス。占部はベットに縛り付けられ身動きが取れない、その上に口元には猿ぐつわを噛まされ目には涙を浮かべていた。「ウグー・ーッ」低い唸り声をあげ必死に抵抗を試みるも全ては無駄だ。
「占部さんよう、あんたが、うちの会長の襲撃メンバーだったんは、わかっとんねん、早田組の原田がうとうたさかいにな、ここで、おたくを殺してもええねんけどな、どや、取引せえへんか?早田組の組事務所警察の警戒が厳重で俺らでは近づけへんねん、せやけど、お前なら行けるやろ、組長の『早田勝樹』の首とってんか取ってくれるんやったら、あんたと家族の安全は俺らが保証したるさかいに、まっ、断ってもええねんで、やけど、その場合、綺麗な嫁はんと可愛いかわいい娘さんがどうなるかは、己も極道なら解るわな」四人の男の一人が窓際に立ち窓の外に広がるコバルトブルーに輝く海を見ながら穏やかな口長で占部に話した。「ええ天気やね、こんな所でゆっくりバカンスを楽しめるあんたが羨ましい限りや」言いながら男は、煙草を取り出すと火を付け大きく煙を肺の奥にほ吸い込むと暫く肺の中に煙を留めると、窓の外の青い空に向かいゆっくりと味わうように、吸ったときと同じ大きく吐き出した。「大体、おたくの組と最初にゴタゴタがあったのは、うちやのうて松永組やんけ本来なら、松永んところの組長を的に掛けるのが普通やと俺は思うで、それが、なんで、うちの会長やねんおかしい思わんか、エッ!占部さん。ちょいとその辺の事聞かせてくれへんか?」言葉が続くにつれて男の口長に凄まじい怒気がこみ上げて来るのが解る。「おい、口元の猿ぐつわ取ったれ」男が部下に命じた。「なんで、うちの会長やねん、うん!聞かせてんか」言うと男は別の部下の方に 右手を伸ばす手を差し出された部下はその手に白鞘のドスの束を男に握らせると鞘を引き払った。真剣の鋼が姿を現し男はその切っ先を占部の喉元に押し当てた。「言いたい事が、あるんやったら言えや」有無を言わさぬ迫力と殺意が冷たい刃先から伝わって来た。「やかましいは、うちの会長が殺された時の車、己の所の車やろ、われのところが松永つこうて、会長バラしんたんやろうが」猿ぐつわを外された占部は一気にまくし立て身動き取れない体をよじり抵抗を試みた。「ほう、この状況でそこまで言えるとは、肝は据わっているようやな、自分が死ぬ覚悟は出来てるようや、そんなやつ、ここで殺してもつまらへんで、それなら、尚のこと己の大事な家族に責任取って貰おうか。言うとくけど己の家族は、俺らの手の内にある、生殺与奪件はこっちにあんねん。そこの所よう考えや」男は抜き身のドスを鞘に収め占部に家族の事を念押しすると、もう一度猿ぐつわを噛ませ目隠しをして、手を後ろに縛ると占部を立たせ両脇を男達に抱えさせて歩くように促した。人目につかぬように細心の注意を払いエレベータで一階に移動するとホテルの裏口に付けた車に占部を押し込んだ。
何処をどう走ったのか目隠しをされていた占部には知るよしも無かったが、車も人通りも無い峠道で車を降ろされた。解放されるとき男は占部の耳元で囁いた。「溝口遙殺しの車の事やが仮に己の言うことが正しいとして、うちの車かも知れへんけどな、これだけは、言うとくぞ、至誠会会長『徳重正也』は末端のゴタゴタに首を突っ込むようなそんな小物とちゃうからのう」霞んだ視力が時間と共に光りを取り戻すと眼下に拡がる蒼に輝く海が占部の目に飛び込んで来た。『早田を殺せ、でないと、家族を殺す』男の冷淡な声が占部の耳に甦る「もう、どうにもならへん」占部の脳裏に絶望が呟いた。とっ、次の瞬間占部の体は宙に舞い真っ逆さまに涅槃の縁へと落ちて行った。
大阪政道会若頭補佐『占部貞光』は、セブ島のホテルの一室で四人の男に囲まれている四人が四人とも上下黒のスーツにサングラス。占部はベットに縛り付けられ身動きが取れない、その上に口元には猿ぐつわを噛まされ目には涙を浮かべていた。「ウグー・ーッ」低い唸り声をあげ必死に抵抗を試みるも全ては無駄だ。
「占部さんよう、あんたが、うちの会長の襲撃メンバーだったんは、わかっとんねん、早田組の原田がうとうたさかいにな、ここで、おたくを殺してもええねんけどな、どや、取引せえへんか?早田組の組事務所警察の警戒が厳重で俺らでは近づけへんねん、せやけど、お前なら行けるやろ、組長の『早田勝樹』の首とってんか取ってくれるんやったら、あんたと家族の安全は俺らが保証したるさかいに、まっ、断ってもええねんで、やけど、その場合、綺麗な嫁はんと可愛いかわいい娘さんがどうなるかは、己も極道なら解るわな」四人の男の一人が窓際に立ち窓の外に広がるコバルトブルーに輝く海を見ながら穏やかな口長で占部に話した。「ええ天気やね、こんな所でゆっくりバカンスを楽しめるあんたが羨ましい限りや」言いながら男は、煙草を取り出すと火を付け大きく煙を肺の奥にほ吸い込むと暫く肺の中に煙を留めると、窓の外の青い空に向かいゆっくりと味わうように、吸ったときと同じ大きく吐き出した。「大体、おたくの組と最初にゴタゴタがあったのは、うちやのうて松永組やんけ本来なら、松永んところの組長を的に掛けるのが普通やと俺は思うで、それが、なんで、うちの会長やねんおかしい思わんか、エッ!占部さん。ちょいとその辺の事聞かせてくれへんか?」言葉が続くにつれて男の口長に凄まじい怒気がこみ上げて来るのが解る。「おい、口元の猿ぐつわ取ったれ」男が部下に命じた。「なんで、うちの会長やねん、うん!聞かせてんか」言うと男は別の部下の方に 右手を伸ばす手を差し出された部下はその手に白鞘のドスの束を男に握らせると鞘を引き払った。真剣の鋼が姿を現し男はその切っ先を占部の喉元に押し当てた。「言いたい事が、あるんやったら言えや」有無を言わさぬ迫力と殺意が冷たい刃先から伝わって来た。「やかましいは、うちの会長が殺された時の車、己の所の車やろ、われのところが松永つこうて、会長バラしんたんやろうが」猿ぐつわを外された占部は一気にまくし立て身動き取れない体をよじり抵抗を試みた。「ほう、この状況でそこまで言えるとは、肝は据わっているようやな、自分が死ぬ覚悟は出来てるようや、そんなやつ、ここで殺してもつまらへんで、それなら、尚のこと己の大事な家族に責任取って貰おうか。言うとくけど己の家族は、俺らの手の内にある、生殺与奪件はこっちにあんねん。そこの所よう考えや」男は抜き身のドスを鞘に収め占部に家族の事を念押しすると、もう一度猿ぐつわを噛ませ目隠しをして、手を後ろに縛ると占部を立たせ両脇を男達に抱えさせて歩くように促した。人目につかぬように細心の注意を払いエレベータで一階に移動するとホテルの裏口に付けた車に占部を押し込んだ。
何処をどう走ったのか目隠しをされていた占部には知るよしも無かったが、車も人通りも無い峠道で車を降ろされた。解放されるとき男は占部の耳元で囁いた。「溝口遙殺しの車の事やが仮に己の言うことが正しいとして、うちの車かも知れへんけどな、これだけは、言うとくぞ、至誠会会長『徳重正也』は末端のゴタゴタに首を突っ込むようなそんな小物とちゃうからのう」霞んだ視力が時間と共に光りを取り戻すと眼下に拡がる蒼に輝く海が占部の目に飛び込んで来た。『早田を殺せ、でないと、家族を殺す』男の冷淡な声が占部の耳に甦る「もう、どうにもならへん」占部の脳裏に絶望が呟いた。とっ、次の瞬間占部の体は宙に舞い真っ逆さまに涅槃の縁へと落ちて行った。