想い、交わる2週目。
文字数 1,345文字
バーベキューを通して互いの親睦を深めた一週目。
二週目となる今日の行き先は、日本有数の遊園地だった。
男子がチケットの手配をしている間、りりころは私とゆーちゃを集めて声を潜める。
「二人とも、ぶっちゃけ誰のこと狙ってる?」
「私は……はるとかな」
躊躇いがちに答えると、「ひまりは優しい感じの人が好きなんだね」とりりころは相槌を打つ。
「あたしは逆かな〜。外見ならかけるみたいなワイルド系がタイプだけど、寡黙な感じがちょっと……ゆーちゃはどう?」
「初対面ではあらたがいいなって思ったよ。趣味合いそうだし。でも……あらたはりりころが気になってる感じだから、ナシかな」
「ええ!? あいつ、あたしのことおちょくってばっかじゃん!」
「そうかな?」
綺麗に巻かれた髪先をいじりながら、ゆーちゃは「それとね」と続けた。
「私、愛するより愛されたいタイプなの。あらたがダメでも、もし他に脈アリな人がいるなら……私はそれで十分」
そう言ったゆーちゃの瞳が、少しだけ寂しげに細められる。
ちなみに、彼女の推理は見事に当たっていて――
「ひまり! お願いがある!」
入園後、くじ引きで一緒に回ることにになったあらたは、私の前でぱちんと手を合わせた。
「りりころのこと、尾行してもええ?」
「尾行って……あらた、もしかしてりりころのこと」
「せや。気になっとんねん。旅が終わるまでに告白したいと思っとる」
真剣な眼差しに、思わずどきんと胸が音を立てる。
りりころははるとと園内を回る予定になっているため、彼のことも知れる良い機会で――
「別にいいよ」と頷けば、あらたの表情がぱっと明るくなった。
*
園内を楽しみつつ、私たちはりりころとはるとの様子を追いかけた。
距離が大きく縮まる気配はなかったが、それでも二人の会話はほど良く盛り上がっているように見える。
「どう? りりころについて何か分かった?」
歩き疲れて入ったカフェで、私はあらたに尋ねる。
「絶叫系が好きってことやな。ちなみに俺は嫌いやけど」
「あはは、そのくらいは大したことないよ。告白、上手く行くといいね」
「ありがと。まあ当たって砕けろやな」
あらたは笑い、「今のうちにお手洗い行っとくわ」と立ち上がった。
*
スマホを触りながら待っていると、ふと背後から明るい声が聞こえる。
「はあ~、なんかお腹空いちゃった」
(りりころだ!)
思わずびくりと肩を強張らせたが、りりころとはるとは私に気付かず仕切りに隔てられた隣のテーブルに座った。
「そう言えば、はるとの旅はいつまで?」
「それは言っちゃいけないルールでしょ」
はるとの嗜める声に、「そうだった」とりりころは笑う。
「でも、互いのチケットの数が分かんないって辛いよね。だって好きな人が来週にはいなくなっちゃうかもしれないし」
「そうだね。だからこそ……気になる人には、積極的にアプローチして行かないと」
そして少しだけ間を置いて、はるとは穏やかな声で言った。
「俺……ゆーちゃが好きなんだ」
「(え?)」
りりころの声と、私の心の声が重なる。
それは、旅で初めて感じた胸の痛みだった。
二週目となる今日の行き先は、日本有数の遊園地だった。
男子がチケットの手配をしている間、りりころは私とゆーちゃを集めて声を潜める。
「二人とも、ぶっちゃけ誰のこと狙ってる?」
「私は……はるとかな」
躊躇いがちに答えると、「ひまりは優しい感じの人が好きなんだね」とりりころは相槌を打つ。
「あたしは逆かな〜。外見ならかけるみたいなワイルド系がタイプだけど、寡黙な感じがちょっと……ゆーちゃはどう?」
「初対面ではあらたがいいなって思ったよ。趣味合いそうだし。でも……あらたはりりころが気になってる感じだから、ナシかな」
「ええ!? あいつ、あたしのことおちょくってばっかじゃん!」
「そうかな?」
綺麗に巻かれた髪先をいじりながら、ゆーちゃは「それとね」と続けた。
「私、愛するより愛されたいタイプなの。あらたがダメでも、もし他に脈アリな人がいるなら……私はそれで十分」
そう言ったゆーちゃの瞳が、少しだけ寂しげに細められる。
ちなみに、彼女の推理は見事に当たっていて――
「ひまり! お願いがある!」
入園後、くじ引きで一緒に回ることにになったあらたは、私の前でぱちんと手を合わせた。
「りりころのこと、尾行してもええ?」
「尾行って……あらた、もしかしてりりころのこと」
「せや。気になっとんねん。旅が終わるまでに告白したいと思っとる」
真剣な眼差しに、思わずどきんと胸が音を立てる。
りりころははるとと園内を回る予定になっているため、彼のことも知れる良い機会で――
「別にいいよ」と頷けば、あらたの表情がぱっと明るくなった。
*
園内を楽しみつつ、私たちはりりころとはるとの様子を追いかけた。
距離が大きく縮まる気配はなかったが、それでも二人の会話はほど良く盛り上がっているように見える。
「どう? りりころについて何か分かった?」
歩き疲れて入ったカフェで、私はあらたに尋ねる。
「絶叫系が好きってことやな。ちなみに俺は嫌いやけど」
「あはは、そのくらいは大したことないよ。告白、上手く行くといいね」
「ありがと。まあ当たって砕けろやな」
あらたは笑い、「今のうちにお手洗い行っとくわ」と立ち上がった。
*
スマホを触りながら待っていると、ふと背後から明るい声が聞こえる。
「はあ~、なんかお腹空いちゃった」
(りりころだ!)
思わずびくりと肩を強張らせたが、りりころとはるとは私に気付かず仕切りに隔てられた隣のテーブルに座った。
「そう言えば、はるとの旅はいつまで?」
「それは言っちゃいけないルールでしょ」
はるとの嗜める声に、「そうだった」とりりころは笑う。
「でも、互いのチケットの数が分かんないって辛いよね。だって好きな人が来週にはいなくなっちゃうかもしれないし」
「そうだね。だからこそ……気になる人には、積極的にアプローチして行かないと」
そして少しだけ間を置いて、はるとは穏やかな声で言った。
「俺……ゆーちゃが好きなんだ」
「(え?)」
りりころの声と、私の心の声が重なる。
それは、旅で初めて感じた胸の痛みだった。