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文字数 1,981文字
どんより曇った昼下がり。
山奥の寂れた村に一人の少女が訪れた。
村娘のようにも見えるが、不釣り合いな機械仕掛けの剣を肩掛けベルトでぶら下げている。
頭上のリボンをぴょこぴょこ揺らしながら、少女は変わり果てた村の様子に戦慄を覚えた。
遠巻きからゲッヘッヘと下卑た笑いを漏らすモヒカン達。
すぐに抜刀出来るよう、少女は剣の柄に手を添えた。
看板だったのか
しかしトラブルに遭う様子もなく、少女はあっさり目的地に辿り着いた。
村長から事情を聞き出すべく、少女は玄関へ歩みを進めた。
そこで庭の女神像を物色する怪しい人影に気付く。
思い込んだら我が道をゆく、それが少女のモットーだった。
走りながらカッコ良く抜刀しようとしたがうまく抜けず、少女はそのまま怪しい人影にドロップキックをお見舞いした。
男の口をパンツで塞ぐように、顔面に馬乗りになって勝ち誇る少女。
男は真っ赤になりながら何かを訴えようとしているが聞く耳持たず。
師匠から授かったSM用のロープを取り出し、不審者を縛る準備を始める。
村長の殺意がこもったガニ股旋風脚が少女――ルザリカに炸裂する。
すぐさま魔術師風の男の前で土下座し、村長は泣きながら必死の言い訳を並べ立てた。
冒険に出ても方向音痴ですぐ戻って来るようなアホの子なんです!
世間知らずでイカれた冒険脳の親に捨てられたことも気付かず、むしろ憧れるようなおめでたい子なんですっ!!
なにとぞっ! なにとぞご勘弁をぉぉぉぉ!!
立ち上がった男の村長を見下ろす視線は低い。
なぜなら彼はまだ子供だったのだ。
あの口やかましかった雷おやじが自分より小さい子供相手に醜態を晒している――
その光景にショックを隠し切れず、ただでさえ詰まっていない脳ミソがからっぽになるルザリカ。
深い深い村長の土下座はその禿頭が地面にこすれて、今にも取り残された一本毛が抜け落ちそうなほどだった。
少女がその最期の瞬間を固唾を飲んで見守っていると、傍に佇むもう一人の……いや、もう一匹の小さな悲鳴の主が目に入った。
頭蓋骨に手足が生えた、みょうちくりんな魔物が鼻血を出している魔術師を介抱している……。
鞘にかかっていたセーフティーロックを無理矢理ぶち壊し、機械仕掛けの剣を抜刀するルザリカ。
しかし勢いあまってスパっとスカートを斬り落とし、パンツ丸出しになってしまう。
アホの子にもかろうじて恥じらいがあったようだ。
真っ赤になりながら斬り落としたスカートを巻き、パンツを隠そうとする。
そんな彼女の背後に忍び寄る影――。
騒ぎを聞きつけた村人達に縛り上げられ、アホの子は御用となった。
村人達は魔術師風の少年の前に揃って土下座し、パンツ丸出しの少女を差し出した。
村長、大変だぁ!
村はずれに魔物が出ただぁ!