信じられません(テーマ:エントリーシート[形式指定])

文字数 955文字

【自己PR・志望動機】

 昔から私は、うさぎとして自分の足が速いことを誇りに思ってきました。
 プライドを持ち胸を張っていたのですが、同時にそれは世界で私より足の速いものはいないという驕りとなり、足の遅い者たちを見下す結果にもなっていました。

 ある日、いつものようにのろいのろいとかめをからかっていたら、突然かめが、なにをおっしゃるうさぎさん、と挑戦状を叩きつけてきました。
 向こうの小山のふもとまで、どちらが先に駆けつくか、競争しようというのです。
 私はびっくりしました。
 クラスでも一番足の遅いかめが私に挑戦するだなんて、やる前から結果なんて目に見えているのにと。

 しかし私は負けてしまいました。
 どんなにかめが急いでもどうせ晩までかかるだろうと、油断して途中で寝てしまったからでした。
 かめはその間にも歩き続け、私を追い抜いて先にゴールしてしまいました。

 私は思い知りました。
 自分の能力を驕り努力を怠った者より、こつこつと地道に歩みを続けた者が最後には勝つのだということを。
 どんなに優れた才能を持った気でいても、磨かない限りはそれは、決して輝きを保てないのだということを。
 私はかめを称え、それから私とかめは無二の親友となりました。
 もちろん自分の一番のプライドを潰された私の悔しさは深く、心のどこかでかめを憎む気持ちもありました。
 しかしそれ以上にかめの真摯な努力に、私は心を打たれたのです。

 あの経験は私にたゆまぬ努力こそが真に強いものであるという信念と、何事にも手を抜かない精神力を与えてくれました。
 今ではその心構えは、誰にも負けないものであると自負しています。
 御社のような業界を志望するにあたり、経験も見識もない私は、足の速さでいえばかつてのあののろまなかめと同じことと思います。
 しかしお客様に美味しい料理を食べていただきたいという志に偽りはなく、こつこつと地道に努力をし続ければ、必ず誰よりも先に小山のふもと、さらにその先まで辿りつくことができると信じています。

 親友に教えられた私の信念を生かし、是非とも御社で働きたいと思っています。
 よろしくお願い致します。



               亀料理専門チェーン 割烹万年堂 様
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