第20話
文字数 928文字
これからどうすればいいのか?
その日の夜、私の部屋を訪ねてきた詩織ちゃんと、明日のことについて話をしました。明日は誰かに会うことはせず、サオリちゃんも交えてきちんと話をしたほうがいい。私は大体そんなことを言いました。一人で抱え込んでいてもダメだっていうことは、今日のことで身に染みてわかったからです。
「でも、サオリは多分会ってくれないと思う。私のことが嫌いだから。私の頼みなんてもうなんにも聞いてくれない。一緒に住むのも嫌なのかも」
詩織ちゃんは三角座りした膝に顔をうずめました。それからこう続けます。
「佳奈ちゃんは、自分の顔が産まれた時からひとつでしょう。でも双子って、自分と同じ姿をした子が、生まれた時からいるんだよ。黙ってたら親戚にも間違われるぐらい。時には親にもね。でも私とサオリは全然違うの。サオリは私なんかと間違われて、きっと何度も嫌な思いをしたはず。もしかしたら、これはそういうもの全部を含めた、私に対する復讐なんだよ」
私はなんとかして励まそうとして、色々考えましたが、結局「そんなことないよ」という言葉しか出てきません。頭の中にいるミナミちゃんが「なんでわかるわけ?」と不満そうな顔をしました。やっぱり、私は考えるのが苦手みたいです。
考えるのがだめなら、私にできるのは行動だけです。
翌日、詩織ちゃんを私の部屋に残して、私は眞見さんの家の前に立ちました。あの黒い車は、今はありません。私はふーっと深呼吸して、玄関のチャイムを押しました。お母さんもいないようで、だれの反応もありません。私はもう一度チャイムを押しました。ピンポンという小気味よい音がひとつ、ひとつ、ひとつ……。
サオリちゃんが家にいることは、詩織ちゃんから聞いて知っています。だから出て来いと扉を叩くかわりに、ボタンを押しているのです。どうしても話さなければならないと思うからです。
「うるさいなあ、もう」
困ったように笑いながら玄関からサオリちゃんが出てきました。やはり驚くほどに詩織ちゃんに似ていて、ぱっと見ただけでは違いがわかりません。サオリちゃんは私を誘って、歩き出しました。
「最初にね、入れ替わってみようって言い出したのは私なんだ」
とサオリちゃんは言いました。
その日の夜、私の部屋を訪ねてきた詩織ちゃんと、明日のことについて話をしました。明日は誰かに会うことはせず、サオリちゃんも交えてきちんと話をしたほうがいい。私は大体そんなことを言いました。一人で抱え込んでいてもダメだっていうことは、今日のことで身に染みてわかったからです。
「でも、サオリは多分会ってくれないと思う。私のことが嫌いだから。私の頼みなんてもうなんにも聞いてくれない。一緒に住むのも嫌なのかも」
詩織ちゃんは三角座りした膝に顔をうずめました。それからこう続けます。
「佳奈ちゃんは、自分の顔が産まれた時からひとつでしょう。でも双子って、自分と同じ姿をした子が、生まれた時からいるんだよ。黙ってたら親戚にも間違われるぐらい。時には親にもね。でも私とサオリは全然違うの。サオリは私なんかと間違われて、きっと何度も嫌な思いをしたはず。もしかしたら、これはそういうもの全部を含めた、私に対する復讐なんだよ」
私はなんとかして励まそうとして、色々考えましたが、結局「そんなことないよ」という言葉しか出てきません。頭の中にいるミナミちゃんが「なんでわかるわけ?」と不満そうな顔をしました。やっぱり、私は考えるのが苦手みたいです。
考えるのがだめなら、私にできるのは行動だけです。
翌日、詩織ちゃんを私の部屋に残して、私は眞見さんの家の前に立ちました。あの黒い車は、今はありません。私はふーっと深呼吸して、玄関のチャイムを押しました。お母さんもいないようで、だれの反応もありません。私はもう一度チャイムを押しました。ピンポンという小気味よい音がひとつ、ひとつ、ひとつ……。
サオリちゃんが家にいることは、詩織ちゃんから聞いて知っています。だから出て来いと扉を叩くかわりに、ボタンを押しているのです。どうしても話さなければならないと思うからです。
「うるさいなあ、もう」
困ったように笑いながら玄関からサオリちゃんが出てきました。やはり驚くほどに詩織ちゃんに似ていて、ぱっと見ただけでは違いがわかりません。サオリちゃんは私を誘って、歩き出しました。
「最初にね、入れ替わってみようって言い出したのは私なんだ」
とサオリちゃんは言いました。