神へのプレゼント
文字数 4,532文字
ザリスの監視台を見上げる入り口付近。
天然の要害に作られた小さな砦は、その三角形の壁面の二方面が切り立った崖となっていた。そして残りの一方面に入り口があるが、そこは高台になっており、外からでは入り口を見上げる格好だった。
その入り口付近の平野には、40台もの軍用トラックが整然と並べられていた。
アスタリア側の主要人物が勢揃いしている前で、ライザが両手を広げて笑顔で言う。
ロシアと比べればアメリカのほうが圧倒的にモノが溢れているのは間違いないし、いざ情報工作となれば金に糸目は付けないだろう。だがロシアの細々とした援助とそのまま比較するのもフェアとはいえない。第一、アメリカは首都オーレスに駐在していて、紛争地域さえ避ければ、ここまで堂々と車列を組んで大量の荷物を搬送することが可能だ。空輸もできる。少なくともすぐ先のイーリス基地までは政府軍の補給ルートが点と線をつなぐように伸びていたから、危険なルートはとくにない。また相手が政府軍ならともかく、アメリカ軍にわざわざ好んで戦闘行動を吹っ掛けるなど、土着の特殊な宗教勢力や自爆テロリストの類だろう。
一方のロシアは、かなりの遠距離を移動せねばならず、なおかつ秘密裏に国境を越えねばならないという事情もあるから、こちらが望むようなモノを運び込むまでに時間がかかる。さらにはロシアは多方面の反政府勢力に援助しているわけだから、アメリカのように一点豪華主義と違い、どうしても提供してくる補給物資が乏しくなりがちだった。