第66話陽平の脱出
文字数 1,228文字
翌朝、警察により、福田家火災現場の検証が実施された。
灯油をまかれての火災までは、判明した。
近隣の防犯カメラの動画から「迷惑系ユーチューバーらしき男が、灯油ポリタンクを運ぶ姿」「暴露系写真週刊誌の記者数人が、それに協力する姿」が確認できた。
その灯油を福田家の庭に大量にまき、火をつけたのも、迷惑系ユーチューバーらしき男だった。
警察当局はアカウントなどの探索を開始したが、なかなか本人の特定まで至らない。
また暴露系写真週刊誌の記者数人の逮捕にも、至っていない。(既に海外に逃亡してしまった)
それ以上に、警察当局が不審に感じたのは、「焼死体」が発見されないこと。
福田家の車は車庫にあり、近隣のタクシー会社に照会しても、タクシーを当夜使った証拠はなかった。
近隣の防犯カメラの画像分析でも、福田家三人の外出画像は、全く確認できないのである。
刑事たちは嘆いた。
「あの迷惑系ユーチューバーの動画では、燃え上がる前、家に電気はついていた」
「しかし、三人とも、外出していない」
「常に、迷惑系ユーチューバーとか、週刊誌たちの記者がうろついていたから、外出できる状態ではなかったはずだ」
「死体が発見できなければ、単なる放火だ、殺人罪にならない」
その後、捜査が続く中で、地下室が発見された。(火災による損傷は皆無)
刑事たちが地下室に入ると、数十人が入れる会議室のような広い部屋。
広い部屋の壁に、またドアがあった。(そのドアに鍵はかかっていなかった)
刑事たちがドアを開けると、長い階段があった。
階段をおりながら、刑事たちが驚いた。
「そうか・・・福田要蔵さんは、政界の大物」
「地下で内密の会議をしたのかもな」
「命を狙われたことも何度もあった」
「それで地下室を作って、さらに逃げ口を作ったのか」
「山手の坂に屋敷を構え、地下室、地下階段となると・・・元町に出るのか」
刑事たちの分析は当たった。
長い階段を降り、ドアを開けると、横浜元町の商店街が見えている。
福田陽平、陽一(父)、美津子(母)の三人は、放火に遭い、地下室から地下階段を抜け、脱出していた。
馴染の華僑の超大物、陳朱明に助けを求め、心よく保護されたのである。
陳朱明自ら、茶を淹れた。
「ご災難でしたな」
陽平たちが頭を下げようとすると、陳朱明は、手で制した。
「福田要蔵先生のご恩は、華僑は絶対に忘れません」
「福田先生のご尽力があって、この横浜中華街は、ここまで立派に育ちました」
「そのご子息が困られたなら、助けなければ、恩知らずです」
「あの世で、先祖に叱られます」
陳朱明は続けた。
「陽一先生と美津子奥様は、子分が上海まで警護します」
「上海には要蔵先生ゆかりのホテルがありますので、ご心配なく」
陽一と美津子が頷くと、陳朱明は陽平の手を握った。
「東都と清水一家に復讐しましょう」
「我々華僑も、風間組とは良い関係でした」
「平蔵様にも、何度も恩を受けました」
陽平は、陳朱明の大きな手を握り返した。
(それ以外に、復讐する手段が見つからなかった)
灯油をまかれての火災までは、判明した。
近隣の防犯カメラの動画から「迷惑系ユーチューバーらしき男が、灯油ポリタンクを運ぶ姿」「暴露系写真週刊誌の記者数人が、それに協力する姿」が確認できた。
その灯油を福田家の庭に大量にまき、火をつけたのも、迷惑系ユーチューバーらしき男だった。
警察当局はアカウントなどの探索を開始したが、なかなか本人の特定まで至らない。
また暴露系写真週刊誌の記者数人の逮捕にも、至っていない。(既に海外に逃亡してしまった)
それ以上に、警察当局が不審に感じたのは、「焼死体」が発見されないこと。
福田家の車は車庫にあり、近隣のタクシー会社に照会しても、タクシーを当夜使った証拠はなかった。
近隣の防犯カメラの画像分析でも、福田家三人の外出画像は、全く確認できないのである。
刑事たちは嘆いた。
「あの迷惑系ユーチューバーの動画では、燃え上がる前、家に電気はついていた」
「しかし、三人とも、外出していない」
「常に、迷惑系ユーチューバーとか、週刊誌たちの記者がうろついていたから、外出できる状態ではなかったはずだ」
「死体が発見できなければ、単なる放火だ、殺人罪にならない」
その後、捜査が続く中で、地下室が発見された。(火災による損傷は皆無)
刑事たちが地下室に入ると、数十人が入れる会議室のような広い部屋。
広い部屋の壁に、またドアがあった。(そのドアに鍵はかかっていなかった)
刑事たちがドアを開けると、長い階段があった。
階段をおりながら、刑事たちが驚いた。
「そうか・・・福田要蔵さんは、政界の大物」
「地下で内密の会議をしたのかもな」
「命を狙われたことも何度もあった」
「それで地下室を作って、さらに逃げ口を作ったのか」
「山手の坂に屋敷を構え、地下室、地下階段となると・・・元町に出るのか」
刑事たちの分析は当たった。
長い階段を降り、ドアを開けると、横浜元町の商店街が見えている。
福田陽平、陽一(父)、美津子(母)の三人は、放火に遭い、地下室から地下階段を抜け、脱出していた。
馴染の華僑の超大物、陳朱明に助けを求め、心よく保護されたのである。
陳朱明自ら、茶を淹れた。
「ご災難でしたな」
陽平たちが頭を下げようとすると、陳朱明は、手で制した。
「福田要蔵先生のご恩は、華僑は絶対に忘れません」
「福田先生のご尽力があって、この横浜中華街は、ここまで立派に育ちました」
「そのご子息が困られたなら、助けなければ、恩知らずです」
「あの世で、先祖に叱られます」
陳朱明は続けた。
「陽一先生と美津子奥様は、子分が上海まで警護します」
「上海には要蔵先生ゆかりのホテルがありますので、ご心配なく」
陽一と美津子が頷くと、陳朱明は陽平の手を握った。
「東都と清水一家に復讐しましょう」
「我々華僑も、風間組とは良い関係でした」
「平蔵様にも、何度も恩を受けました」
陽平は、陳朱明の大きな手を握り返した。
(それ以外に、復讐する手段が見つからなかった)