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文字数 878文字

長野県工業試験所試験所に所属する研究員石田は信州大学物理学科准教授の佐藤の研究室に向かって軽乗用車を走らせている。
千曲川支流堤防改装プロジェクトの堤防に使うコンクリートの試験を任されているが、予算不足のため十分な人員が確保できずに検査も手抜きに近い状態でやらざるおえず学生時代の同級生の佐藤に協力を得られないか相談するために信州大学キャンパスに向かった

 ☆
仕事終わりで作業服姿の石田は約束の6時半に佐藤研究室のドアをノックした

仕事終わりで作業服の石田に準教授の佐藤は言った
「昔話はもういいだろう、何か用があって来たんだろ」

「ああ、実は頼みがあって来た、温暖化による異常気象に備えるために千曲川支流の改修工事関連の仕事を県土木課のから受けてやっているのだが県議の中には地球温暖化に懐疑的な議員もいて十分な予算が取れない、佐藤は地球物理学会の会員で趣味でやっている気象学の研究を進めて気象予報士の資格も取ったと訊いた。議員を納得させるために協力してくれないか?
土木課の職員も困ている」

「河川改修工事はこれからますます重要な事業になる、しかし地方自治体の議員だけでなく国会議員にも懐疑論者や楽観主義者が多くいて、河川・海岸線の堤防の改修やかさ上げ工事もほとんど進んでいない。理由の一つは議員の多くが文系特に法学系が多数を占めていて役人が重要性を指摘しても彼らは殆ど理解できない、プレゼンの最中に居眠りしている議員もいるそうだ。そして二つ目は、これが最も重要な点だが河川や海岸線の改修工事は票に結びつかない、オリンピックや万博と違いマスコミも取り上げない与野党を問わず票にならない事業には予算を付けたがらない。大規模な災害が起きれば自衛隊の格好の宣伝ぐらいにしか思っていない、マスコミも災害予防の扱いは大型ショッピングセンターのオープンセレモニー以下だ」

「海水温所上昇により短時間雨量の記録は毎年更新されている国も似たような状況なら一級河川、千曲川も将来氾濫もしくは堤防の決壊が起きる可能性があるということか、そうなったら長野の経済は致命的な打撃を受けることなる」
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登場人物紹介

浜田

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