第26話 二人の秘密の生活を続けよう!

文字数 1,923文字

朝、目が覚めると、隣で由紀ちゃんがまだ眠っている。ウイークデイの朝は大体僕の方が先に目が覚める。電車が混むので二人とも早めに出かけるが、起きるのは6時にしている。まだ、5時半を過ぎたばかりだ。

僕は早く目覚めて隣で眠っている由紀ちゃんの寝顔を見ているのが好きだ。このごろは離れて眠るようになったが、ここへ来たばかりのころは、いつも腕の中にいた。本当に安らかな顔をして眠っている。よだれをたらしていることがある。それをそっと吸い取ってあげる。

休日の前の晩は僕のお腹の上で寝かせてくれということあるが、もう飽きたと見えてそれは少なくなった。そんな時は寝た気がしないが、なくなると少し寂しい。

6時に寝坊防止のための目覚ましが鳴る。夏の間は朝が明るいが、今のように秋も半ばになると6時はまだ暗いから、二人とも寝過ごすことがある。

由紀ちゃんは寝覚めが悪い。身体を起こすがしばらくはボヤーとしている。その間に僕が先に洗面所で身支度を整える。そして、朝食を作る。

遅れて由紀ちゃんが身支度を整えて、二人分のお弁当を作ってくれる。僕は朝食の準備を整えると、洗濯機から昨晩に入れて洗濯して乾燥された衣類を取り出して折りたたむ。

それから二人そろって朝食。食べながら今日の二人の予定を確認する。食事の片づけは由紀ちゃんがしてくれる。そして7時半までには出勤する。それ以後になると電車が混んで乗れなくなる。

由紀ちゃんはずっとお弁当を作っていたので、それを続けているが、手数は同じだからと僕の分も作ってくれることになった。

どこでこれを食べるか、まさか一緒に食べるわけにもいかないので、自分の席でこっそり食べている。急に弁当持参になったが、健康のために自分で作ったことにしておいた。でもなかなかおいしい。

生活費だけど、家賃は今までどおり、僕の負担にしている。食費と光熱水費は折半にすることにした。他は大体僕が負担している。これで由紀ちゃんの貯金が増えている。

ただ、僕の出費は一人でいたころとほとんど変わっていない、むしろ減っている。昼食はお弁当だし、外食が減ったし、仕事を終えるとすぐに家に帰るから、飲む回数も減っている。

帰宅は大体僕の方が遅くなる。早く帰った方が夕食を準備することになっているが、ほとんど由紀ちゃんがしてくれている。それに、僕が遅くなっても食べないで待っていてくれる。だから、早く帰るようになるし、いつもメールでの連絡が欠かせない。

帰ってからの食事の準備が負担になっていないか心配しているが、料理は好きだし、いままでも自炊して来たから大丈夫と言っている。その代わり、食事の後片付けは僕が必ずすることにしている。

僕の寝室にはセミダブルのベッドがあったが、それでは二人がゆっくり眠るには少し狭いので由紀ちゃんのシングルベッドを入れた。結果、ダブルベッドよりも大きくなり、寝室はほとんどベッドの間になった。

それから、愛し合うのは週末に収束して来た。由紀ちゃんが僕の部屋に引越ししてきたときはほとんど毎晩だったけど、気持ちの行き違いも出てきたので、お互いに週末に集中した方が良いと考えるようになった。

土曜日はどこかに出かける予定がなければ、遅くまで寝ている。気が向けば愛し合うこともある。でも9時くらいには起きて朝食を摂ってから、二人で部屋の掃除と洗濯をする。

日曜日もほぼ同じ感じ。休日に二人で出かけた時には外食して帰ることにしている。出かけない時は食事を僕が作る。休日ぐらいは由紀ちゃんをゆっくりさせてやりたい。

由紀ちゃんは会社では相変わらず地味なスタイルにこだわっている。ど近眼なので家ではメガネをかけていることが多い。二人で外出するときはコンタクトに替えている。メガネの由紀ちゃんも結構可愛く思えるようになった。

1か月も経たずに二人の生活は落ち着いて来た。僕は心の安らぎが得られて仕事にも張りが出てきた。由紀ちゃんも仕事を張り切ってこなしているみたいだ。

僕は遅く帰ることが多いけど、待ってくれている人がいるというのはいいものだ。一人暮らしの時は帰るとまず冷えた部屋の暖房を入れた。でもいまは明かりが灯っているし、部屋も暖かい。

それだけでも疲れた心身を癒してくれる。まして笑顔で迎えてくれる人がいるなんて、玄関に迎えに出てくると思わず抱き締めてしまう。

確かに一人の気ままな生活も良いところがいっぱいある。二人で生活してみて一人になりたいことも時にはある。でも二人でいて一番よいことは、楽しいことを一緒に楽しんでくれる人がいるということ、嬉しいことを一緒に喜んでくれる人がいるということ。二人でいると楽しさ嬉しさが何倍にも増幅される。こんな生活がずっと続いてほしい!
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