流れ星、本、眼鏡

文字数 635文字

女の子が手を振り上げて怒りを露にまくしたてる。
「も、いいよ!すぐに居なくなるんだから!私のことなんて、もう守ってくれなくて良い……!」
「俺がお前を守りたい気持ちは本当なんだ。寄り道ばかりすることは謝るよ、だから、守らせてほしい」
「PC眼鏡くん…」
やだ、私なんでどきどきしちゃってるの。
寝る前に枕元にいたはずの彼が朝にはいなくなってるとこも、忙しいときに限ってかくれんぼする子供っぽいところも、おでこの上で彼を探す私を笑ってるところも全部に飽き飽きしてたはずなのに。
「俺、ブルーライトだけじゃなく花粉からも君を守りたい!だから、もう一度考えてくれないか?」
「……うん……」

何で買ったのかわからないシュールな本をよみながらコーンスープを1口。
クタッとしたお気に入りのスエットに何かのおまけのシュシュ姿で一人ごちる。
「もういっそのこと無機物で良いからときめかせてくれないかな?」
人をダメにするソファーに体を預けゴロゴロする。

ちょうどその時、星が流れたことを
部屋で読書中の女がどうして気づけようか。

冷えてきたので炬燵に移動する。
やんわりと足を包み込む暖かさ、つい空想してしまう。
「おかえりー!!部屋暖めておいたから!(年下彼氏、炬燵)」
「ほらほら、食って元気出せよ!お前の好きなもんばっか用意してやったんだから!(俺様、冷蔵庫)」
「悪く……ないかも。」

流れ星が彼女の願いに答え、「無機物萌えの視点」を授けたことに気付ける者はいない。
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