第1話 壊れたら許さないって言ったよな
文字数 656文字
ご主人様
わたし
壊れました
……
買うときに言ったよな
壊れたら許さないって
申し訳ございません
捨てられる覚悟はできております
冷蔵庫よ
オレは許さないと言ったんだ
捨てはしない
どういう意味でございましょうか
オレの怒りがおさまるまで
おまえをとことん痛めつける
わたし
冷蔵庫ですが
冷蔵庫だからって
オレはようしゃしないぞ
覚悟しろよ
製造されたことを後悔するぐらい
痛くてつらくてくるしいめにあわせてやる
……
どうした
もうおそろしくて
言葉もでないか
いえ
こういう場合
何を言えばいいのかわからなくて
命乞いをしろ！
這いつくばれ！
許して下さいと言え！
泣け！
わめけ！
それでも許さないがな！
いまいちど確認しますが
何を言っても無駄だぞ
わたし
冷蔵庫なんですが
は！
これだよ
なんでもかんでも冷蔵庫ですって言えば
許されると思っている
まったく冷蔵庫ってやつはどうしようもないな
いろいろな意味で
すみません
逃げようとしても無駄だからな
とことん痛めつけてやる
そもそも
動けません
でた
正論
だから冷蔵庫はいやなんだ
では
わたしはどうすれば
いいのでしょうか
これだよこれ
冷蔵庫ってやつは
最後には「じゃあどうすればいいの」
とかひらきなおる
なんどもすみません
確認しますが
時間稼ぎか？
何をいっても無駄だぞ
壊れたのは
わたし
ですよね？
おまえが！
自分で！
壊れたっていったんだろう！
ちくしょう！
壊れやがって！
壊れやがって！
許さねえ！
おおおおおん！
だいたい状況は
はあくできました
なんていうか
その
ごめんなさい
おおおおおん！
おおおおおん！
おおおおおん！
おおおおおん！
ああ
わたしは
これからどうなるのでしょう
