第31話
文字数 1,247文字
日本三大庭園に数えられる名園の木々を雪から保護するための雪吊りが施された景色がホテルの小窓から見える。後、暫くすると春の日差しが届き今見えている雪吊りも外され辺りは新緑に覆われる事だろう。その景色が見えるホテルの一室には、大阪政道会会長、溝口斉加と五嶋聖治、高木海斗の幹部三人が小さなテーブルを囲み黙り込んでいた。
「島内が、殺されたんや、占部とは連絡が取れへんねん」憔悴した様子の溝口斉加が重苦しく沈んだ口長で呟いた。
「占部は何処におんねん」昨夜は一睡も出来なかったであろう五嶋聖治が目を真っ赤に腫らして口を真一文字に閉ざした斉加に詰め寄った。
「フィリピンのセブ島や。逃亡先を手配したのは俺や」責任を感じているのだろう斉加も聖治と同じく眠っていないのだろう涙目となって詫びるように聖治の問いに答えた。
「そんで、島内はどないして、殺されたんや」こみ上げて来る感情を必死に押さえなんとか冷静さを保とうと聖治は努めて静かに話した。
「山桜!、知ってるやろ。あの男に嬲り者にされて、地獄の苦しみの中で、猟銃で頭、吹っ飛ばされて殺された」斉加は早田組本部で他の幹部達と見た、あの背筋も凍る様な光景をありのままに聖治に言って聞かせた。
「栄二!、て、あの、シャブ中の栄二か」聖治が確認を求める。
「そうや!、山桜の栄二や聖治お前も、よう、知っとるやろ」聖治と目を合わせ斉加は真顔で答える。聖治は自分で訪ねながら背中に冷たいものを感じた。『確か、あいつは、殺人で二十年くろうて、最近出たばっかりの筈やほとぼりも冷めんうちに、又、殺しやと、今度は懲役では済まんぞ、間違いなく死刑や』栄二の小脳が眠っていた記憶を呼び覚まして大脳に伝えた。
「あの男、出てきて、やりたい放題か?島内の敵はとらな、あかんわな」聖治の手が脂汗を掻き微かに震えている。押さえていた怒りが沸点を超えて聖治の体から拭きだしてきた。
「これも、それも、俺が徳重を取り損ねたのが元凶や。今度こそトドメを刺したるわ」聖治はあの時徳重が倒れた事は確認したが、生き死には撤退行動の混乱で最終的に確認しなかったことを悔いた。
「聖治、、あの襲撃が俺らの仕業やと言うことくは、至誠会は、すでに知ってるで、そういう所は、あいつら、サツ以上や、今では、俺もお前もそして、この高木も的に掛けられてるで、それも、最優先にや、もう暫くは身を隠していた方がええんとちゃうか」斉加が聖治に警告した。
「何を弱気なことを言う取るんです。やられぱなしは、あかんでしょう。島内や占部があの世で泣いてます、敵取ってくれ言うて何より俺ら親を殺られてる、極道なら親の無念は晴らさな」怒りに任せ聖治が言い放った。
「聖治さん、徳重の命狙うんですね」斉加と聖治のやりとりを聞いていた高木が口を挟んだ。
「当然やろ!高木」聖治が答えた。その声からは、ある種の決意が漲っていた。
「解りました!」聖治の思いを知った高木が冷静な語り口で返した。静かながらもその言葉からは、腹をくくった男の凄みが伝わってきた。
「島内が、殺されたんや、占部とは連絡が取れへんねん」憔悴した様子の溝口斉加が重苦しく沈んだ口長で呟いた。
「占部は何処におんねん」昨夜は一睡も出来なかったであろう五嶋聖治が目を真っ赤に腫らして口を真一文字に閉ざした斉加に詰め寄った。
「フィリピンのセブ島や。逃亡先を手配したのは俺や」責任を感じているのだろう斉加も聖治と同じく眠っていないのだろう涙目となって詫びるように聖治の問いに答えた。
「そんで、島内はどないして、殺されたんや」こみ上げて来る感情を必死に押さえなんとか冷静さを保とうと聖治は努めて静かに話した。
「山桜!、知ってるやろ。あの男に嬲り者にされて、地獄の苦しみの中で、猟銃で頭、吹っ飛ばされて殺された」斉加は早田組本部で他の幹部達と見た、あの背筋も凍る様な光景をありのままに聖治に言って聞かせた。
「栄二!、て、あの、シャブ中の栄二か」聖治が確認を求める。
「そうや!、山桜の栄二や聖治お前も、よう、知っとるやろ」聖治と目を合わせ斉加は真顔で答える。聖治は自分で訪ねながら背中に冷たいものを感じた。『確か、あいつは、殺人で二十年くろうて、最近出たばっかりの筈やほとぼりも冷めんうちに、又、殺しやと、今度は懲役では済まんぞ、間違いなく死刑や』栄二の小脳が眠っていた記憶を呼び覚まして大脳に伝えた。
「あの男、出てきて、やりたい放題か?島内の敵はとらな、あかんわな」聖治の手が脂汗を掻き微かに震えている。押さえていた怒りが沸点を超えて聖治の体から拭きだしてきた。
「これも、それも、俺が徳重を取り損ねたのが元凶や。今度こそトドメを刺したるわ」聖治はあの時徳重が倒れた事は確認したが、生き死には撤退行動の混乱で最終的に確認しなかったことを悔いた。
「聖治、、あの襲撃が俺らの仕業やと言うことくは、至誠会は、すでに知ってるで、そういう所は、あいつら、サツ以上や、今では、俺もお前もそして、この高木も的に掛けられてるで、それも、最優先にや、もう暫くは身を隠していた方がええんとちゃうか」斉加が聖治に警告した。
「何を弱気なことを言う取るんです。やられぱなしは、あかんでしょう。島内や占部があの世で泣いてます、敵取ってくれ言うて何より俺ら親を殺られてる、極道なら親の無念は晴らさな」怒りに任せ聖治が言い放った。
「聖治さん、徳重の命狙うんですね」斉加と聖治のやりとりを聞いていた高木が口を挟んだ。
「当然やろ!高木」聖治が答えた。その声からは、ある種の決意が漲っていた。
「解りました!」聖治の思いを知った高木が冷静な語り口で返した。静かながらもその言葉からは、腹をくくった男の凄みが伝わってきた。