第36話 side.亜希

文字数 664文字

湊、会いにきたよ
私は湊の眠る病室で呟いた。
ねぇ湊……さっきは、何て言ったの?
続きが……あったんでしょ?なにか言いたかったんでしょ?
ねぇ……
こんなことになるなら、

もっとたくさん話しておけばよかったな

とか、…「好きだ」って言えばよかったなとか、色々考えることはあるけど。

だけどもう……後悔したくない。
湊。私もね、湊に言わなきゃいけないことがあったんだ
今まで素直になれなかった……。ごめんね、だけど私最近気付いたの
弘とか陽菜ちゃんとか萌ちゃんの言葉や、……もちろんゆめかわ女子の事件のこともきっかけだった。
ずっと抱いてた、もやもやした、正体不明の感情。
それはたぶん――
湊。……好きだよ
それが、恋愛っていう、感情。
本当はずっとずっと、湊のことが、好きだった。
いつからだろう。

いつから私は、湊を好きになったんだろう。

湊と遊園地に行ったときから?

湊と同じ高校に行けたときから?

からかわれていた私を、助けてくれたときから?

お父さんが……死んだときから?

ううん、全部ちがう。正解は――
出逢ったときから、私はずっと、湊のことが好きだったよ
ゆめかわ女子が言っていた。湊にひとめぼれしたって。
私だって、そうなんだ。
誰かを好きになることに、理由も、決定的な出来事も必要ない。
必要なのは、自分が「この人が好きだ」って心から思えること、そして、

……相手に思ってもらえること。

……なんて。なんで聞いてないのに、大事なこと言っちゃうんだろうね
寝てるのに。湊は聞いてないのに。
だけど、閉じられたまぶたを見つめながら、ふと思った。
私はどうしようもなく、湊が好きだ。
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登場人物紹介

桜庭 亜紀(さくらば あき)です。私立ボルネーチ学園に通う高校二年生です。周りからはよくツンデレと言われますが、自分ではどこが?って感じです。幼なじみの湊には、よく分からない感情を抱いてます。初恋はまだです。そのほかは、読み進めて私のことを知ってくださいっ‼(喋るのが嫌いなだけ)

佐々木 湊(ささき みなと)です。私立ボルネーチ学園に通う高校二年生です。亜紀は絶対にツンデレですが、自分は多分違います。そもそも、ツンデレの意味が分かりません。それはおいておいて、幼なじみの亜紀は、何やらかすか分からないので目が離せません。読者の皆さんも、亜紀を温かい目で見守ってあげてください。

上条 萌(かみじょう もえ)でーす。亜紀ちゃんや湊くんと同じ学校に通ってる、高二の萌袖大好き女子でぇす。亜紀ちゃんも湊くんも、ツンデレ同士お似合いよねー。早く付き合っちゃえばいいのに、ツンデレも大変ねぇ。ちなみに私には彼氏いまーす。けど、彼氏よりは亜紀ちゃんの方が大切だな。そうそう、湊くんと亜紀ちゃん、友達が少ないんだけど、私はそんな数少ない友達の一人だから大事にしてね☆早く二人の恋が実ることを祈ってまーす。

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