第165話

文字数 986文字

 辞表を出した。いつものように、上司からは真面目にとりあってもらえない。
何かと、いらぬ詮索をされたり、また、根も葉もない嘘が、彼女の耳に入ったりして、
面倒にならぬかと、心配です。迷惑をかけてしまったらごめんなさい。

 僕が仕事で行きづまった時、大変な時、悩んだとき、面倒になっているとき、
たった1年ですけど、、常に近くにいてくれたのは、僕が大好きな人、ただ1人です。
他の人は、自分の都合、立場、体裁、仲良しグループの目を気にしたり、責任を転嫁したりと。。。
僕にくっついたり離れたり。
 それでも十数年いっしょにいたから仲間でしょ?と、少々僕の辞表にご立腹のメンバーもいますが、
でも。。。なんでも。。。。やっぱり、常に状況問わず、僕の近くにいてくれたのは
彼女たったひとり。
 20歳もしたですけど。僕は、世間一般の男性みたいに見た目だけで彼女を選んだわけでは
ありません。
 一緒にいて楽だし、怠惰な僕の背中をいつもいつも、「う~~ん」て押してくれて、疲れてるときはそっとしておいてくれるし、「もう勝手にしろ!もうしらん!」と僕がきれると、「あ~あ。。誰かと早く結婚しなきゃたいへんだ、こりゃ」と、僕が一番嫌がるフレーズも知っていて。彼女の存在自体、考えるだけで、涙が流れます。大事で大事で大事で仕方がありません。
 そんな彼女と、二人三脚、今の会社に残ったままできるはずもなく、僕は会社のメンバーよりも彼女一人を選びます。理由は、彼女は裏切らないことを知っているからです。

 ある人を正社員にするうんぬんのお話をききました。僕は猛反対しました。
どれだけ仕事ができても、社歴が長くても、仲良しグループを作り、弱い人間を飲み会から外したり、仕事で協力しなかったり、マウントする人間を、良しとは思いません。
 仲間意識を高めるメンバーの枠外には、それに気が付いて、傷ついている人間が必ずいるのです。その人たちの悲しみをも耳にしてもきました。
  本質で合う人間と、人生二人三脚するために、僕は、二十年弱勤めた会社を辞めるといっているのです。酷ですが、どうしても残りたいという風には、心が動きませんでした。時には僕自身、「僕って雑巾かなにかかな」とさえ思うほど、心を痛めたこともあります。
 そんな僕に、心から寄り添ってくれたのは彼女が一人です。
 
僕は、彼女がうんといえば、生涯彼女を大事にします。

 

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