2、原作つき漫画って楽しい!

文字数 4,834文字

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24日の座談会のメイン会場もこちらになります。


20時からスタートです


開始時間までにもご質問の書き込みは大丈夫です。
また、時折20時前に質問に回答することもあります。よろしくお願い致します。

さて、20時になりました。清水先生、本日もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします!
では、本日は前回の終わりにも少し触れましたが、原作つきの作品を描くにあたって、清水先生なりのおもしろさなどを語っていただこうと思います。
まずは原作つき漫画を描くことになった経緯などお聞きしてもよろしいですか?

はい。

初連載が終わった後はいくつか一緒にやりませんかと言うお話をいただいていて、その中で一番早く掲載が決まったのがガンガンでした。


ガンガンオンラインは「月刊少女野崎くん」とか「田中くんはいつもけだるげ」とかがヒットしている時(今もしてますね)で、女性読者が多いと編集さんも言っていて、実際女子向けだなという作品が多かったのです。

初連載の時、自分のお客さんは「女性かつ女性誌は読まない人」かなと思っていたので、青年誌よりはその読者層に少し近づけるかもと思ってガンガンオンラインでの連載を目指そうと決めました。


フレッシュガンガンと言う、新人の読み切りレース(上位2位まで連載権取れる)に読み切りを出して、2位だったのですが、結局その作品を連載化する前に原作付きの作品をやらないかとお話しいただいて、すぐ決まる感じだったのでそっちを進める事にしました。

ほうほう。なるほどです。

初連載でストーリー作りに力不足を感じていて、色々勉強したりしていた時期なので、新しい事やった方がいいかもなという事もあって。


それが「構成/松永きなこ」です。

女性主人公は初です。

今でも月刊で続いていますが、心からやってよかったな〜〜!!!と思っています。

勉強になる事の連続で、この作品を経験した後は漫画の描き方かなり変わりました。

「構成/松永きなこ」めっちゃ面白いです! 
そして、その経験によって変わった漫画の描き方というのは、どういうものなのでしょうか?

はい。まずプロットをちゃんと描くようになりました!


原作付きというのは、100の仕事をたとえば40と60に分けてやるのではなくて、100と100を持ち寄って、一見100だけど中身200のものを作る事なんだという事を知りまして。

おおー、なるほどなるほど。より密度の濃い作品ができあがる感じですね。
プロットを描くと、ひとりで描くときもそこに近づける感じですか?

そうですね!

まずきなこを作る時の工程を紹介しますね。

松永きなこは画像のようにテキストで原作をいただいています。

(原作テキストがコミックスのカバー下に配置されています!めくってみてね!)


これを私がネームにします。

ネームを描く時には、原作を読んで1話の構成とか演出のパターンを考えるわけですが、この時点ですでに1個、原作の方が描いている演出があるわけですよね。

しかも多分その演出は原作の人がいくつか出して捨てた結果残ったもののはず。


それがあるので、かなりリラックスして自分の想像を膨らませる事ができるのです。

やってみて初めてわかったんですけど、原作がある方が自由に演出考えられるな〜!と。

>やってみて初めてわかったんですけど、原作がある方が自由に演出考えられるな〜!と。


ああー、それすごくよくわかります。自分も原作つきで企業案件ですけどやったことがあるので。しかし、原作つきと、いわゆるコミカライズとは、また違いますよね?
そうですね。きなこの場合は原作は書き下ろしで、ある程度私の意見も受け入れてもらえるので、コミカライズとはかなり状況が違うと思います。
コミカライズがどんな感じなのかわからないので、一概に言えないんですが…。
w それをいうと私もよくわかってないんですけども。なんとなくで良いなら、最近読んだ矢吹健太郎先生の新作「ダーリン・イン・ザ・フランキス」なんかは、アニメの第一話にめちゃくちゃ寄せていて、その辺の自由度は作品の規模にも比例するのかな、と思ったりしました。
確かに作品によるのかもしれないですね。
話を戻しますと、他に原作つきをやってみて、手に入れた考えや手法などありますか?

はい。きなこの場合は、かみん先生のおっしゃる通り密度をあげるのが1人の時よりも早くできるので、オリジナルを描く時に1人でそれをやれたらすごくいいのでは?と思いまして。

まずプロットを、自分が原作者のつもりで誰かにネームを描いてもらう体で詳細に書くんです。


それをネームに起こす時はプロットを書いた時の事は忘れて、原作をもらって読んでるような感覚で読みます。

プロットとネームの間に時間を置くのも効果的です。


そうすると、プロット作成時にパワー100出したと思っても、他人の視点で見ることで、さらなるアイデアを思いつきやすいんです。


これはあくまでもプロットで全力を出し切ることがポイントです。

イマジナリー原作者ですねw
でも、めちゃくちゃよくわかります。私もプロットをかなりしっかり目にかいておくタイプなので、時間が経って見直したときに、『過去の自分、ぐっジョブ!』ってたまになりますから。
そう…。

これで、演出のアイデア過去の自分と今の自分で最低2個思いついた〜!ってなります。

こうやって書いてみると、もう改めて書くことが恥ずかしいくらい当たり前のことですよねこれ。

でも、「原作を読んでネームに起こす(さらにその時最低でも1個自分で演出考える)」という作業に慣れて来た時に、このやり方すごく捗る!しかも楽しい!ってわかったんです。

いやいや、そんなことないですよ。あらためてお聞きして、すごく頭の整理になりますし、考え方で悩んでいた方にも、響くのではないでしょうか。
そういえば、原作つき作品に向いている傾向がある人の話、以前してらっしゃいませんでしたか?

はい。してましたね!

私が思う、原作付き作品を描くのに向いている人とは、二次創作をしている方です!

ほほう! 二次創作ですか!! といいますと?

二次創作している方は国語力が抜群にあるなと常々思っていまして。

彼らは登場人物の心情を読み解いて膨らますという特殊能力持ってますよね?


ネームにする時に原作の魅力を増幅させることができるのってすごい強みだと思います。

なるほどなるほど。二次創作してる方はキャラ妄想力が強いなと私も思っていました。
そうですね。原作と相性があえば、というか、原作者さんの出してきたキャラを好きになれば、ものすごい強みになりそうですね。
清水先生も、昨日のプロフィール説明のところで、二次創作をされていたとおっしゃっていましたが、それが原作つきに生かせたというところでしょうか。

先に述べました、この人特殊能力持ってる!というような二次創作者だったかと言われると全然そんなことなかったので、技術的なことが役に立っているかどうかは正直わからないです。


でも単純に、漫画描くの楽しいという気持ちを取り戻せたので二次創作やってよかったと思っています。

活動期間は大体1年半で、初連載獲得前、編集さんと連絡が途絶えた一番ダウナーな時期にはじめたので…。

あ、後自分の萌えを再発見・再確認できたというのも大きなことだったかもしれないですね。
なるほど。同人をやったことが、いろいろな点で今の清水先生を形作るきっかけみたいになっているんですね。ちなみに私は未だに同人やってますw
これで地由さんのご質問に答えられましたかな?
いけたと思います。
では、話は変わりまして、清水先生は漫画のプロモーションについても思うところあるそうですけれど、それについてお聞きしたいのですが。

プロモーション…作品の宣伝活動については「宣伝活動いっぱいしたいけど時間がない」「作品のクオリティを落としては本末転倒…だけどなにもしないのも不安すぎる」というジレンマを長年抱えていまして。

ああ、どうしても作品製作に時間を遣わなくてはいけないですからね。

そうですね。でも紙のコミックスを継続して出すには売り上げが必要なわけで…。


新連載研究会でも宣伝活動については色んな方が色んなお話しされてますよね。

それを見ていたら、メシノトモ1巻では、なにかやってみよう!という気になったんです。

原稿前倒しして少し睡眠時間を犠牲にしましたが。

色んなお話がでてましたね。
Twitterでの広告とか、プレゼント企画とかいくつかやってみたんですが、やってみた結果、1つでもいいからやると少なくとも心は落ち着く!ということがわかりました。

ジレンマを抱えながら原稿作業やるのも苦痛なので、1個でいいからやればいいんだなとわかりました。

うまくいけばデータも取れるし何もしないよりはいいし、なにより心が落ち着くし。


無理する必要はないけど、今後宣伝活動については、1つは絶対なにかやろうと思っています。

なるほど、心の平穏……。あまり、想定してない単語がでてきましたねw

売り上げとかセンシティブな部分じゃないですか。


コミックス発売時に何もしないと

「他の作家さんのコミックス宣伝漫画のツイートめっちゃRTされてる…この人の本は売れて何もしてない私の本は売れずに打ち切られる…未来が見える……。」

みたいなダークサイドに陥って行くので、それを滅するためにも必要なんですよ〜宣伝活動は〜。

な、なるほど~。それは、納得です。
自分も単行本出るときは、悔いの残らないようにしっかり宣伝します。
最近は出版社もいろいろ苦しいらしくて、単行本の宣伝や告知が作家任せになっているところも、多々見受けられるので、清水先生のように、自分から作品を宣伝していくのって、本当に大切だな、ととみに思います。
そうですね。私も宣伝活動しようと決めたのはメシノトモが初めてだったので、たくさんやれているわけではないんですが…。

メシノトモ1巻に関しては、担当さんにも協力していただけて、とてもありがたかったです。

担当さんや先ほどの話だと原作者さんと、がっちり協力して、作品作りや宣伝をしていくことが、プロとして大事なんですね。
清水先生のプロとしてのあり方に頭が下がります。
いやいや、ほんとに協力していただけて感謝してます。

売れることで恩返しできたらいいなあ…。

といったところで、本日の座談会はお開きにさせていただきます。
続きは

明日25日の午前10時から再開いたします

のでよろしくお願い致します。


それまでも、

質問など随時受け付けておりますので皆様よろしくお願い致します。

清水先生、ご回答ありがとうございます!


>原作付きというのは、100の仕事をたとえば40と60に分けてやるのではなくて、100と100を持ち寄って、一見100だけど中身200のものを作る事なんだという事

>きなこの場合は原作は書き下ろしで、ある程度私の意見も受け入れてもらえるので、コミカライズとはかなり状況が違うと思います。


原作テキストをそのままマンガに描き起こすというよりは、言わば原作の方とのコラボレーションで面白いマンガを作る!という気概で描かれているのですね。

具体的には、マンガとしての演出にこだわるという事でそれを実現していると。

そしてその姿勢が、清水先生オリジナル作品にも(イマジナリー原作者を想定して)活かされている・・・という事なんですね。

詳しく教えていただいて、ありがとうございます!

>地由さん


そしてその姿勢が、清水先生オリジナル作品にも(イマジナリー原作者を想定して)活かされている・・・という事なんですね。


はい。新しいこと経験するとどんどんやり方変わって行きました。

しかしまだまだ勉強中なので今後も精進したいです!

では、きりも良いので
このエピソードはここで閉じて最終日はつぎのエピソードで行います。
質問等もそちらでお願い致します。

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登場人物紹介

森脇かみん


漫画家。『東京ネームタンク』ネーム相談講師。


web、アプリ漫画「サイコミ」にて医療漫画「サブカルメディカル」でデビュー、連載。

連載終了後は企業案件漫画など。その他、漫画連載を企画中。

某医大医学部を中退し、漫画家になるため上京した過去を持つ。

医療知識があるので、その方面の質問に応えることもある程度可能。

日本シャーロック・ホームズ・クラブに所属する程度にミステリ好き。

清水しの(しみずしの)


漫画家。


山形県出身。 

イブニング(講談社)より「狼少年は嘘をつかない」で連載デビュー。 

ガンガンONLINE(スクウェア・エニックス)にて「構成/松永きなこ」執筆の他、ゴーゴーバンチにて「メシノトモ」を連載中。 


デビュー時は犬好きだったがここ数年で猫沼に落とされる。 犬と暮らす野望はまだ捨ててない。


HP  http://shinoshino.info 

Twitter @doro10mizu

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