129

エピソード文字数 626文字

「紅の考えを聞かせてくれぬか」

「上様、正親町天皇(おおぎまちてんのう)が譲位し、誠仁親王(さねひとしんのう)が即位した際にお受けするというのはいかがでしょうか」

 信長は気乗りしないのか、あたしの意見に素直に従う。

「ふむ、そのように朝廷に意向を伝えよ」

「はい。畏まりました」

 しかし、“翌月には突然譲位には不都合だと言い出し、就任は延期されることとなった。”

 どんなに側にいても、信長の真意は計り知れず、その言動に周囲は振り回された。

 信長の目指す『天下統一』
 信長はあと一歩でその夢を叶えることが出来る。

 その一歩を焦るあまり、家臣の前でヒステリックな一面も見せた。

 信長の脅威に、誰もが恐れ口を噤む。
 だが、信長の言動に苦言を呈する者がいた。

 ――それが……明智光秀だった。

 信長は光秀に積年の恨みがあった。

 明智城から落ち延びた帰蝶を、すぐに清州城に帰さず、屋敷に匿い情を通じ、何事もなかったかのように虚偽をした。

 信長は光秀の嘘を見抜きながらも、一旦は不問とし、光秀を一国の城主までに担ぎ上げた。

 それにも拘わらず、光秀はなおも信長を欺いた。それに拍車をかけるように、光秀の出世を快く思わない秀吉や直臣達が、よらかぬ噂話を信長の耳に入れた。

『於濃の方様と明智光秀殿は、いまだに上様の目を盗み頻繁に恋文を交わし情を通じている』

『於濃の方様の寝所で、2人が抱き合っていた』……と。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み