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文字数 369文字

 夏がすぎ、秋もおわり、冬になりました。
 お城のバルコニーにも、木枯らしが、ひゅうう、ひゅうう、と、吹きよせます。
「おや、王さまの尾羽が、うす紫になった。そろそろ、雪になるかもしれんぞ。
 ことしももうすぐ、おわりだなあ」
 いのししが、しみじみ、いいました。

「王さま、ばんざい。ばんざい、王さま」
 王さまは寒くてふるえているのに、だれも気がついてくれません。みんな、いそぎ足で歩いていきます。雪がつもらないうちに、くりやくるみや、きのこを、集めてしまおうというのです。
 丘のふもとには、だれもいなくなりました。

 くじゃくの王さまは、ひとりぼっちで立っていました。
 体の寒さより、ひとりぼっちのつらさで、胸が、しん、と、痛くなりました。
「みんな、わたしの尾羽しか見ていないんだ」
 王さまは、つぶやきました。
「わたしの顔は、だれも見てくれない」
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